沖縄地方に自生している月桃(げっとう)というハーブを知っていますか?健康や美容に効果があるとされており、今とても注目されています。その月桃の育て方や効果について紹介します。
ハーブ「月桃(ゲットウ)」とは?
月桃は、ミョウガ科のハーブで、日本では沖縄や九州の南部の森や山の中に多く自生しています。防虫効果や殺菌効果があることから、沖縄地方では、自宅の庭で育てていたり、食材を包む材料として葉っぱが使われたりするなど、とても身近な植物となっています。
地上に出ている月桃の茎は、実は偽物で、本物は土の下(地下茎)にあります。ただ、偽物の茎ではありますが、その茎は2mほどにまで伸び、全体的な樹高が3mくらいになる大型の植物です。
月桃の葉っぱは、生姜の葉っぱと同じような楕円形をしており、その幅は、10~15cmで長さが50~60cmくらいで光沢のある深緑をしています。
提灯に似た形の花は、つぼみの間縁が桃色をした白色の苞に包まれていて、そこから白い花を突き出すように咲かせます。花は、4月下旬頃から咲き始め、花びらの内側(唇弁)は黄色をしており、中央に赤い縞模様があります。9月~10月頃には、卵型をした赤茶色の果実を付けます。
日本で自生している月桃には、シマゲットウとハナソウカという品種があり、シマゲットウは沖縄地方に、ハナソウカは八丈島や小笠原諸島に生息しています。
上でも書いたとおり、月桃は地下茎で育ち、その茎がどんどん伸びるので、地植えで育てたほうが花もよく咲かせて良いのですが、育て方さえ把握すれば、鉢植えでも育てることが出来ます。ただ、その場合は頻繁に植え替えをする必要があります。
月桃(ゲットウ)の育て方
水やり
月桃は、乾燥気味な状態を好むので、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れるまでたっぷり水を与えましょう。水をやりすぎると、根腐れを起こして枯れる可能性があるので、土が乾いているかしっかり確認してから水やりするようにしてください。
土は乾燥気味な状態を好む月桃ですが、空気中の湿度は高い状態が好きなので、霧吹きなどで葉っぱや茎に水を吹きかける「葉水」を年間をなるべく毎日してあげましょう。月桃は、葉水によって水分補給をします。
休眠期に入る冬場は、あまり土への水やりは必要ありません。最高気温が20℃を下回るような晩秋になると、水やりの間隔を空け、土が乾いてから数日後に水やりをしてください。冬場であっても、土に水をやる時は、鉢底から水が染み出るくらいたっぷり水を与えます。また、冬場であっても、葉水はしてくださいね。
冬になると、寒さで地上部の茎や葉っぱが枯れてしまうことがありますが、地下部はまだ生きていて、春になるとちゃんと芽吹く可能性が高いので、地上部が枯れても水やりは続けてください。
肥料
肥料を与えなくても枯れることはなりませんが、肥料を与えることで生育が良くなります。肥料を与える場合は、月桃の生長期である4月~10月の間、2週間に1回のペースで液体肥料を与えるか、緩効性の肥料の場合は、2ヶ月に1回のペースで与えるといいでしょう。
置き場所
自生している月桃は、湿度が高く、日差しが弱い森のなかで育っています。直射日光には弱い性質があり、直射日光を浴びると、葉焼けしてしまう可能性が高いので、春から秋(4月~10月頃)までは、戸外の半日陰の場所において管理するといいでしょう。
夏場、日差しが強くなってきたり半日陰の場所がなくなった場合は、遮光ネットなどを使って半日陰の状態を作って、育てるようにしてください。
月桃の耐寒温度は、5℃といわれています。ですので、11月に入る頃には、日差しが入る明るくて暖かい室内に置き、暖かくなる(3月頃)まで、室内で育てるようにします。
この時も、西日など強すぎる日光を浴びないように置き場所には気をつけてくださいね。
室内が温かい場合は、土の表面が乾いてから水を与えますが、室内でも寒い場所で管理する場合は、水やりの間隔を空けるようにしましょう。
植え替え
月桃の根っこは広がるのが早い性質があり、根詰まりしやすいので、なるべく毎年植え替えをするようにしましょう。植え替えの適期としては、4月の下旬~7月のはじめに行うといいでしょう。ただし、雨がよく降る梅雨時期は避けたほうが無難です。
植え替え方法としては、以下のとおりです。
新しく用意した一回り大きい鉢に新しい用土(市販されている観葉植物用の土)を入れます。鉢から根っこごと株を引き抜いて、付いた土と根っこをほぐした後、伸びすぎている根っこや傷んでしまった根っこを切り落とし、新しい鉢に植え替えます。
月桃の効果や効能は?
緊張やストレスの緩和
では、ここからは月桃の効果や効能について紹介します。月桃の葉っぱには、とても良い芳香があり、その精油はアロマとして活用されています。月桃のアロマの効果としては、緊張やストレスを緩和したり、脳を刺激して血圧を下げる作用があります。
抗菌作用
また、強い抗菌作用もあるため、防虫や防カビ、消臭の効果もあります。その効果から、育てているときも、病害虫の心配はほとんどいりません。摘んだ葉っぱや乾燥させた葉っぱを置いておいたり吊るしたりすることで、虫除け効果が期待できます。
美肌効果や肌荒れ予防
他にも、葉っぱには赤ワイン以上のポリフェノールが含まれているため、高い抗酸化作用や美肌効果が期待されており、月桃を使用した化粧水やハーブティーが販売されています。
月桃茶は、アンチエイジングの他にもリノール酸により脂肪の生成を抑える効果やがんの抑制効果が期待されています。また、香りにはリラックスを促す効果があり、カフェインが含まれていないので、夜に飲むことで心地よい眠りに誘ってくれます。
カフェインレスで子どもでも安心して飲むことが出来ますが、妊婦さんがこのハーブティーを飲むことは禁忌とされているため、妊婦さんの摂取は避けたほうがいいでしょう。
葉っぱの利用だけでなく、根っこのエキスには皮膚疾患を予防するコンドロイチンが含まれており、石鹸や化粧水として利用されています。このエキスは、肌荒れ予防や改善の効果が期待されています。
月桃茶の作り方
出典:https://oasisshokudou.ti-da.net/e7574378.html
月桃を使ったハーブティーは(化粧水もですが)、実はあまり市場で流通しておらず、今のところ、月桃茶を取り扱っている、ごく一部のお茶屋さんで購入するか、ネット通販で購入するかしかありません。
でも、せっかく月桃を育てているのですから、自分で育てた月桃でハーブティーを作ってしまいましょう!月桃茶の作り方は以下のとおりです。
- 月桃の葉っぱを適当な量摘み取り、1cmくらいに刻みます。
- ザルなどに広げて天日干しします。この時、何度かひっくり返すことで、均一に乾燥させることが出来ます。
- 葉っぱが完全に乾燥したら完成です。
乾燥した茶葉は、お湯に入れ3~5分ほど沸騰させると、美味しく月桃茶を淹れることが出来ます。茶殻は、消臭の効果があるので、下駄箱や生ゴミ用のゴミ箱に入れておくと、防臭効果が期待できます。
まとめ
いかがでしたか?今回は、月桃について紹介しました。上では、紹介できませんでしたが、観葉植物として鑑賞性の高い「黄斑月桃(きふげっとう)」という品種もあります。
月桃を日本の本土で管理するのは、少し難しい面もありますが、育て方のコツさえ掴んでしまえば、毎年花を楽しんだり、葉っぱを活用することが出来ます。様々な効果が期待できる月桃。一度栽培に挑戦してみてはいかがですか?