すす病の原因、症状、対処、予防方法は?

観葉植物の育て方について調べると、よくすす病という病名を目にします。一体、すす病とはどういった病気で、どのような症状が現れるのでしょうか?すす病の症状や予防方法などについて解説します。

 

観葉植物の「すす病」の原因は?

出典:千葉の県立博物館

すす病は、草花、観葉植物、野菜など、種類を問わずどんな植物にでも発症する植物の病気の一種です。この病気を発症する原因は、『すす病菌』というカビの一種で、それが植物の葉っぱに付着し、そこで繁殖することで病気を発症します。

さらに病気が進行すると、葉っぱから幹や枝にも被害が拡大していきます。すす病菌のカビによる病原菌には大きく分けると、植物を吸汁する害虫が出す排泄物や分泌物などを、栄養として寄生・繁殖する腐生性のカビと、植物の葉っぱや茎から直接栄養分を吸い取って繁殖する寄生性のカビの2つに大別されます。

 

すす病菌の多くは、腐生性のカビで植物に寄生する害虫によって誘引されます。というのも、植物を吸汁するタイプのアブラムシやカイガラムシ、ハダニなどの害虫の排泄物には、糖分を多く含んでおり、それに引き寄せられてすす病菌が集まるり、その排泄物を養分として繁殖します。

他にも、植物自体から分泌される有機物質を栄養にして繁殖することもあります。ただ腐生性のすす病菌によるすす病の場合は、植物に寄生して吸汁して、直接的に植物を枯らすというわけではありませんが、葉っぱの上で増殖することで、光合成を妨げ結果として、植物の生長を妨げてしまいます。

また、腐生性のカビが原因ですす病を発症した場合は、その症状の殆どは葉っぱの表に発生します。症状が葉っぱの裏にも見られた場合は、寄生性のカビが原因である可能性が高くなります。

 

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観葉植物の「すす病」の症状

すす病は、年間を通して発症しやすく、中でも暖かい時期(4月~10月)は発症する確率が高いので、注意が必要です。すす病の症状の特徴としては、葉っぱに「すす」を振りかけたような黒く細かい斑点が広がります。

ただ、病気を発症した段階では、輪っか状の小さな斑点が葉っぱにポツポツとある状態なのですが、その時に放置しておくと、上で述べたように植物全体にすすを振りかけたように黒い細かな斑点が広がります。

 

すす病菌は、糸状菌の中でも、害虫の排泄物などに寄生する腐生性のカビであるため、すす病菌自体が、吸汁などをして植物を枯らすということはありませんが、病気が発症した部分が、黒くなるため、美観が損なわれます。

また、黒いカビが全体に広がることで、植物が光合成することを阻害し、光合成できなくなった植物は、生長不良になり弱ってしまいます。そのため、すす病の症状が広範囲に広がった場合、光合成の阻害による生長不良に注意が必要となります。

 

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観葉植物の「すす病」の対処法

出典:あすなろブログ

すす病を発症した場合、発症初期で部位が少ない場合は、拭き取る・摘み取る・剪定(せんてい)などをして取り除きます。また、すす病が広範囲に広がって剪定等によって取り除くことが難しい場合、殺菌剤を植物に散布することでカビ菌を除去する方法もあります。

ただ、殺菌剤はいろいろ種類があるので、購入する前に必ず『すす病に効果がある』かどうかを確認してから購入しましょう。すす病に有効な薬剤としてあげられるものとして、ダイゼンやトップジンMゾル、ベントレートなどがあります。それらの薬剤をすす病が発症した葉っぱや枝などに散布して使用します。

 

しかし、上で挙げた薬剤は、どれも根治するものではなく対症療法的な意味合いが強いものなので、薬剤を散布して一旦症状が治まったとしても、効果が切れてしまえば、再び発症してしまうことがよくあります。

また、すす病の症状は、冬場に一旦収まることが多いです。これは、上記したようにすす病は、観葉植物に寄生する害虫と密接な関係にあるためです。

 

アブラムシなどの害虫がおとなしくなる冬場は、病状も小康状態になりますが、完治したわけではなく、春になって暖かくなり、害虫が活発になると、またすす病の症状がぶり返してしまいます。

すす病を再発させないためには、先ず根本的な予防が不可欠になってきます。事項では、予防対策について紹介します。

 

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観葉植物が「すす病」にならない予防対策

すす病を発症する場合、その多くの原因が、観葉植物に寄生するアブラムシやカイガラムシなどの害虫による誘引によるものです。これらの害虫の排泄物に引き寄せられたすす病菌が、その排泄物を養分に繁殖するのです。

ですから、すす病を発症させないためには、まず、植物に害虫が寄生していない環境を作ることが大切になってきます。観葉植物を手入れしていて、アブラムシやカイガラムシなどの害虫が寄生しているのを見つけた時は、薬剤を散布するなどして早急に駆除して下さい。

 

害虫を駆除することで、すす病の脅威を減らすほかにも、害虫が植物の栄養を吸汁することで、観葉植物自体が弱ることを防ぐことも出来ます。観葉植物に発生する害虫を抑えるのに有効な薬剤としては、『スミチオン乳酸・オルトラン水和剤・アクテリック乳剤』などがあります。

こういった薬剤を定期的に散布することで、害虫の発生を抑えることが出来ます。スミチオン乳酸は、水で薄めて散布する乳剤タイプの家庭園芸では代表的な殺虫剤で、アブラムシを始めとした多くの害虫に効果を発揮します。

 

オルトラン水和剤は水で薄めて使うタイプのものと、粒剤タイプのものが販売されています。この薬剤は、どちらのタイプも、植物の根元に撒くため、植物が根から成分を吸収することで、効果を発揮するため、速効性はありませんが、長期間に渡って効果が持続します。

また、薬剤の有効成分を直接植物が中に取り込むため、殺虫剤の効果が効きにくいといわれるカイガラムシを駆除する効果もあります。アクテリック乳剤も、水で薄めて散布する殺虫剤です。

 

この殺虫剤は、害虫に直接かかることで駆除する接触効果と、殺虫剤から出るガスによる効果があります。どの薬剤を使用する場合も、使用状の注意点や、薬効や安全性については、パッケージや同封されている説明書等で確認した上で、使うようにしてくださいね。

植物によっては、使用できない薬剤もあります。薬剤を散布する他にも、こまめに観葉植物を剪定(せんてい)することで、害虫の発生を抑えることが出来ます。剪定というのは、植物が成長したことで、込み入ってしまった葉っぱや枝を、園芸用のハサミなどで切り取ることです。

 

害虫の多くは、高温多湿な環境を好むため、生長した枝や葉っぱが込み入って風通しが悪くなると、害虫が発生しやすくなります。そうならないためにも、枝葉が込み入っている箇所や伸びすぎている枝を、こまめに剪定しておくことで、植物自体の風通しが良くなり、害虫の発生も予防できます。

その他にも、観葉植物の鉢を日当たりと風通しが良い場所においたり、定期的に霧吹きなどで葉っぱに水を吹きかける葉水をしたりすることで、害虫を防ぐことが出来ます。

観葉植物の病気の種類|原因、症状は?

 

まとめ

いかがでしかた?「すす病」について解説しました。すす病は、害虫の排泄物に誘引され繁殖したすす病菌というカビが原因で発症する病気でした。

すす病を発症した時、薬剤を散布することで収まりますが、その多くは対症療法であるため、病気を抑える為には、予防する事が大切で、予防策として一番大事なことが、害虫を発生させないことにあります。病気の原因となる害虫の発生を抑え、健康な観葉植物を育てましょう。

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