観葉植物ヒドノフィツムの枯れない元気な育て方、特徴、種類について紹介します。
観葉植物ヒドノフィツムの特徴
- 学名:Hydnophytumformicarum
- 科名:アカネ科ヒドノフィツム属
- 原産地:マレーシア
- 別名:蟻の巣玉
ヒドノフィツムは別名蟻の巣玉という名前で親しまれています。マレーシアを原産として、高温多湿の環境を好みます。湿地に生える大きな木の幹や根や、岩の裂け目などに着生する着生植物です。
蟻と共生する特徴があり、塊茎の中は細かい穴が空き迷路状になっています、その中に蟻を住まわせて、蟻の食べ残しやふんを栄養とします。しかし、観葉植物として育てる場合はきちんと栄養を外部から与えることができるので、蟻を住まわせておく必要はありません。
塊茎の中の穴は蟻が掘って住み着いたものではなく、この植物が本来よりこのような構造の塊茎を持っています。そこに蟻を導き入れ、住まわせます。
ヒドノフィツムの育て方
出典:苗の通販ならサカタのタネっと
水やり
ヒドノフィツムは湿地の着生植物ですが、ある程度丈夫な性質を持ちます。鉢植えの場合は春から秋は成長が旺盛になる時期なので、土の表面が乾いたら、たっぷりと水をあげてください。冬場は休眠期のため控えめにし、土が中まで完全に乾いてからあげるようにしてください。
水苔栽培の場合は、水苔の表面が乾いたらたっぷりと水をあげる、または水に浸してください。ヘゴ板など板漬けにしている場合は、乾いて軽くなり始めたら、潅水を行います。水に浸してたっぷりと吸わせます。潅水は時間がかかり最初は面倒ですが、慣れてくると扱いやすくなります。
用土
着生植物のため、非常に根が繊細です。硬くなってしまう土や、養分の強すぎる土は不向きです。ピートモスをたっぷりと混ぜた、水はけの良い柔らかい土を用意してください。
ある程度株が成熟したら、水苔を含ませへご板などに着生させて育てることも可能です。
置き場所
熱帯雨林で着生して生きる植物です。直射日光は避け、適度に明るい場所で育ててください。葉が薄い品種では冬場の直射日光でも変色を起こすものもあります。春から秋の暖かい時期でも、最低気温は15度までです。
蒸れには非常に弱いので、扇風機やサーキュレーターを使って風が通るようにしてください。通年通して、簡易温室が必要になる場合もあるので、購入の前に準備が必要な場合もあります。
肥料
通常の観葉植物と同様で構いません。暖かい時期の生育期に薄めた液体肥料をあげてください。弱っている時や寒い時期にあげてしまうと、肥料に負けてしまうことがあります。
また、頻繁に上げる必要もありません。基本は着生して過酷な環境で生きているので、いつもあげていると弱る原因になります。
ヒドノフィツムの仕立て方
愛好家は多いのですが、流通量が少ないため詳細がイマイチはっきりしない部分も多くあります。育てている感覚としては熱帯地域の着生ランに近いものがあるようです。根が繊細なので、プラスチックの鉢より素焼きの鉢などが適しています。
着生植物なので、へご板に水苔で着生させることもできます。最近ではへご板が入手しづらくなっているので、流木やコルク、木の板につけるスタイルも流行しています。
水苔を使ってつける場合は、水苔をぎゅっと硬く絞っておきましょう。緩いとスカスカになり株が固定されません。グラグラしていると、いつまでも着生しなくなります。
固定は麻ひもやワイヤーで行います。麻ひもは天然素材なので劣化したり緩んだりしてくるので、どちらかというとワイヤーをお勧めします。園芸用のワイヤーが柔らかく扱いやすいです。
葉が落ちる
直射日光は嫌いますが、光が足りないと落葉します。また、休眠期は地下部分を守るために葉を落とす習性があります。
葉の端が茶色くなる
育てている環境によって原因が大きく変わってきます。夏場に直射日光を長時間浴びて葉焼けを起こしている可能性もあります。乾燥がひどい場合も葉が茶色くなります。
ヒドノフィツムの冬越し
冬は室内の明るく暖かい場所で育てます。温度が一定に保てる簡易温室などがあると便利です。冬場は光を求めて窓辺に置きたいところですが、窓のそばは温度が外気並みに下がることがあります。
窓からは離して管理したほうが安全です。また、床に直に置くと床から冷えてしまいます。花台などを活用するようにしてください。冬は休眠するので、水やりはかなり控えめになります。また、目に見える成長も止まるので新芽は出ません
ヒドノフィツム「あり植物」の種類
最近流行のビザール植物や、あり植物はどんな種類があるのかご紹介します。
ディスキア
ディスキアの一部の品種には葉の裏のふくらみにありを住まわせています。ディスキアは蒸れに弱いため湿度が高い環境ではヘゴ板などに着生させ、乾いて軽くなったら水につける潅水を行うと上手に管理できます。
あり植物は熱帯雨林が原産の植物が多いですが、植物によって特性が違うため個々の管理が必要になります。
レカノプテリス・ミラビリス
出典:富貴蘭讃歌
アリノスシダでパプアニューギニア原産になります。薄い板状の根茎が特徴的で、黒い斑点が見受けられます。小さいと弱いので、なるべく大きい株を入手したいところですが、滅多に流通しません。シダに詳しい観葉植物専門店などに相談してみてください。
ミルメコフィラ・ブリシアナ・アルバ
出典:Images about
中南米原産の着生ランです。古くなったバルブの中にありを住まわせています。バルブは古くなると黄色になり、その形から「バナナオーキッド」とも呼ばれています。ランなので花がつきます。
このような植物は、まだまだ流通が少なく、育て方が不明な点が多くあります。原産地の環境をよく調べると、ヒントが多くあります。熱帯のジャングルに着生して育つので、まず高い気温が必須になります。
品種にもよりますが、元気に育てるためには冬場でも15度は必要になるようです。また、基本は葉が薄く直射日光には非常に弱く、冬場の直射日光でも変色を起こすことがあります。
日本ではやはり春から夏がいちばんの生育時期になるので、新芽を多く吹かせたい場合は水切れを起こさず高温多湿をキープしておくのがコツです。
ヒドノフィツムは株が大きくなり成熟すると5mmほどの花を葉の付け根部分につけます。花がつくので結実もするようです。もし、冬場など自宅で管理が難しい場合や長期で不在にしてしまう場合は、観葉植物を温室で預かってくれるサービスを行っているグリーンショップもあります。
病気や枯れを起こしている個体は基本的には受け入れられませんが、基本的なメンテナンスを行ってくれるので大変便利です。あり植物やビザール植物のように珍しい植物、品種を入手したい場合、海外から入手という方法があります。
しかし、大きくくくると「土がついていない」ことと「植物検疫証明書」が絶対必要になります。また、輸出輸入の禁止リストは国によって異なります。植物の検疫は、国内に病気、害虫を持ち込まないように防衛する他に、種の保存や自然環境に関わる大切な手続きを行なっています。
乱獲によって、現在もたくさんの植物が失われています。安易に個人で輸入する行為は危険なので行わないでください。現在は輸入代行を行なってくれる植物屋さんもあるのでプロにお願いするようにしてください。
まとめ
形のユニークなヒドノフィツムは年々人気が高まっています。ただ、流通量は少ないので、入手したいときは観葉植物専門店に相談してください。また、入手まで時間がかかることもあるので気長に待ちましょう。