ハランといえば、寿司や和食でよく使われる植物ですが、欧米ではオシャレな観葉植物として人気があります。葉蘭(ハラン)について紹介します。
観葉植物「葉蘭(ハラン)」の特徴
ユリ科の植物である葉蘭は、日陰でも元気に育つほど、育てやすい植物で初心者向けの観葉植物としても、注目されています。葉っぱは艷やかで、筋が入り、上に向かってすっと伸びています。
時期がくると花も持ちますが、株の根元に小さくチョコンと咲くので、ほとんど見ることが出来ません。また、この花の受粉は、土の中にいるヨコエビによって行われます。
お弁当や寿司折りなどに使われているプラスチック製の緑の葉っぱのような形のものをバランと呼びますが、あれは、この葉蘭を飾りとして使っていた名残だと言われています。
葉蘭には、殺菌作用があるためで、今でも、少し高級なお寿司に添えられたり、料亭などで今でも本物の葉蘭が利用されていることもあるようです。ちなみに、葉蘭には「蘭」という字が使われていますが、蘭の仲間ではなく、ユリ科の中のハラン属で、原産地は日本や中国となっています。
観葉植物「葉蘭」の育て方
出典:四国ガーデン
置き場所・温度・日光
葉蘭は、れっきとした観葉植物ですが、直射日光が苦手なので、直射日光が当たらない日陰に置いて管理します。なんだか、日光に当てないと枯れてしまったり、徒長してしまったりしそうで不安ですが、直射日光に当てると、葉焼けを起こして、かえって枯れの原因になってしまうので、室内の直射日光が当たらない場所で育てるようにして下さい。
さらに、葉蘭の中でも、葉っぱに斑が入っている場合は、斑入りでない葉蘭よりも余計に日陰で管理する必要があります。葉蘭は、日陰でも元気に育つので、不安に思わず、思う存分日陰で管理しましょう。
また、耐寒性がやや弱めで、氷点下を下回るような気温の場合、株が弱ってしまう可能性が高いので、葉蘭を越冬させる場合は、霜が当たらないように、なるべく暖かい場所に移動させて下さい。
葉蘭は、日陰で管理することが望ましいのですが、だからといって、風通しが悪いところだと、害虫がつきやすかったり、生長に悪影響を及ぼす可能性が高いので、日陰で且つ風通しの良い場所に置くことも元気に葉蘭を育てるのには大切になってきます。
水やり
葉蘭は、生命力が強いぶん、多くの水分を吸収します。ですから、春から秋にかけては、土の表面が乾いたら水やりをするようにして下さい。
ただし、秋を過ぎたあたりから、水やりの間隔を少しずつ空けていき、冬には、土の表面が乾いた後、さらに数日経ってから水やりをするようにして下さい。冬の間、土はなるべく乾燥気味にして管理するのがベストです。
どの時期であっても、水やりをする時は、鉢底から水が染み出るまでたっぷり水やりをして下さい。
肥料・追肥
肥料に関しては、鉢に植え付ける時に土には、暖効性化成肥料を混ぜ込むといいでしょう。育てている途中であるなら、冬(12月~2月)の間に有機質の肥料を与えましょう。
この時期に与えることで、土の中で肥料が植物に吸収されやすい性質に変化するため、生長期に効き目が出てきます。ただ、斑入りの葉蘭の場合、肥料の量が多すぎるとせっかくの斑が、消えてしまう可能性があるので注意が必要です。
植替え・植え付け
葉蘭の植え替え時期としては、葉っぱが沢山茂った時です。もしくは、2年に1度の5月から6月のタイミング行うのが良いでしょう。また、植え付け同じタイミングで作業すると良いでしょう。
植え替えをする時に必要なものとしては「一回り大きい鉢・新しい用土・鉢底あみ・鉢底石・園芸用のハサミ」などです。新しい用度に関しては、市販されている草花用の培養土で十分ですが、自分で調合した用土を使いたい場合は、赤玉土6:腐葉土4の割合で配合した用土を使用して下さい。
準備物が揃ったら、植替えをしましょう。植え替えの手順としては、先ず株と土ごと鉢から引き抜きます。引い抜いた株の根っこは、土を巻き込みながら鉢の形のまま抜けると思います。これを根鉢と言います。
土を全体の1/3ほど落としながら、根鉢を崩します。根っこは伸びすぎているものや茶色く変色しているものを、園芸用のハサミなどで切り落としましょう。
一回り大きい鉢の底に鉢底あみと石を入れ、その上から用意した用土を鉢の1/3ほど入れます。その後、根っこを整理した株を鉢の真ん中になるように置き、残りの土を入れます。土は、鉢の縁から3cmほど下くらいまで入れて下さい。
その後、株や鉢を軽く揺すって、土が根っこの隅々までいきわたるようにします。その後、たっぷり水を与えて作業終了ですが、水やりの後、入り込んでいなかった根っこの隅に土が入り込むことで、土が下がることがあります。
このときは、縁の下3cmほどになるまで土を足してくださいね。植え付けに関しても、手順は植え付けの手順と同様です。
種まき
葉蘭は、種を蒔いたところから育てることが可能な植物です。葉蘭の種は、花が咲いた後、莢(さや)の中に普通種であれば茶色っぽい種が、斑入の品種であれば普通種の種を焦がしたような黒っぽい色の種が出来ます。
これらを5月に収穫して土に蒔くことで、2ヶ月くらい経つと芽が出てきます。種から育てる時の注意点としては、雑草を生やさないということです。雑草は、皆さんも御存知の通り、気づくとニョキニョキと生えてきます。
葉蘭は、活発に生長をして丈夫な性質なので、その分水分を多く吸収します。それなのに、同じ鉢に雑草が生えてしまうと、水分や養分がそちらに奪われてしまい、十分な栄養が葉蘭に届かなくなってしまいます。
そうならないためにも、特に種を蒔いた周辺に生えてくる雑草は、むしり取ってしまいましょう。上でも書いたとおり、葉蘭は生長するために多くの水分を必要とします。
そのため、最初は水やりの時に、たっぷり過ぎるくらいたっぷりと水を上げることでうまく育ってくれます。また、種を蒔いた後だけでなく、発芽後にも水やりや雑草駆除をしっかり行いましょう。
病気・害虫
丈夫な性質の葉蘭ですが、害虫に関しては弱く、特に「カイガラムシ」による被害が多いです。カイガラムシは、葉っぱの裏などに寄生して養分を吸い取ります。カイガラムシは、殺虫剤が効きにくいので、見つけた時は、歯ブラシやヘラなどを使って直接こすり取って下さい。
また、「円星病(まるほしびょう)」というカビによる病気に気をつけて下さい。円星病にかかると、葉っぱに5~10mmほどの褐色の斑点(病斑)が出来ます。最初は、黒い点から始まり、そのままにしておくと、どんどん病斑が大きくなっていきます。
この病斑が多くなると、葉っぱが落ちたり株ごと枯れてしまうこともあります。この病気は、20~30℃の高温である時に起きやすく、多湿な環境を好みます。
また、枯れ落ちた葉っぱが地面に落ちた時、病原菌が土の中で越冬し、水やりによる泥跳ねなどで再び植物に感染することが多いようです。ですから、円星病にかかった葉っぱが枯れ落ちてしまう前に、根本から切り取って処分して下さい。
予防としては、特に高温多湿になりやすい梅雨から夏にかけては、風通しの良い場所で管理することと、土の中が蒸れないように、水やりの時間帯は、朝夕の涼しい間にするように気をつけて下さい。他にも、窒素成分の多い肥料を控えることも予防につながります。
まとめ
いかがでしたか?今回は、料理に使われているバランの元となった「葉蘭」について紹介しました。強健で育てやすいですため、人気の観葉植物です。増えすぎてしまった場合は、植替えや株分けなどで株の整理をすると良いでしょう。