観葉植物に寄生する害虫は、どの虫も厄介ですが、中でも殺虫剤が効きにくいカイガラムシを駆除するのは一苦労です。カイガラムシの特徴や防除方法について紹介します。
観葉植物の害虫カイガラムシの特徴
カイガラムシは種類が多く、全世界で7300種類もの仲間がいて、日本だけでも400種が発見されています。日本でよく見かけるものは、ハカマカイガラムシ科・ワタフキカイガラムシ科・コナカイガラムシ科・カタカイガラムシ科・マルカイガラムシ科などです。
よく観葉植物に寄生するカイガラムシの大きな特徴は、名前に「カイガラ」と付くだけあって、貝殻のような硬い殻に覆われています。ただ、先程も書いたとおり莫大な種類がいるカイガラムシなので、その見た目や大きさ、さらに特徴でもある貝殻のような硬い殻がない種類もいます。
種類が多いカイガラムシですが、そのほとんどが植物に寄生し、そこからストロー状の口を刺して、植物の栄養分を吸汁します。しかも、成虫が一度固着(植物にへばりつくこと)し吸汁を始めると、その場所を動くことはほとんどなく、場合によっては、脚を失う種類までいます。
カイガラムシは、熱帯地方に行くと、年中活動していますが、日本国内においては、冬の間休眠して、春になると活動を始めます。特に、5月頃から7月頃まで活発に増殖する種類が多いです。
発生原因は?
カイガラムシは、風に乗って移動するため、窓を開けている時に飛ばされてきたカイガラムシが植物に付着したり、窓を締めていても、外出中、洋服やカバンなどに知らずに付いてしまい、そのまま家に持ち帰ってしまうこともあります。
また、カイガラムは、風通しが悪く暗くて狭い環境を好むので、観葉植物を風通しの悪い場所に置いて管理していたり、ずっと同じ向きで置きっぱなしにしていたりすると、カイガラムシが発生しやすくなります。
しかも、カイガラムシは、オスがいなくてもメスだけで単為生殖をする種類もいるため、そのままにしておくと、あっという間に増殖してしまいます。カイガラムシを発生させないためにも、風通しの良い場所で管理したり、鉢の向きを定期的に変えるようにしましょう。
カイガラムシによる被害
カイガラムシの被害には、直接的な被害と間接的な被害の2種類あります。直接的な被害としては、カイガラムシが吸汁することによって、その植物の生長を阻害し、新しい葉っぱや枝の生長不良を起こさせるため、枝枯れや株自体を衰弱させて最終的には、枯らしてしまうことがあります。
また、多くのカイガラムシが、一つの植物に寄生して吸汁することで、植物自体を枯らしてしまったりすることもあります。カイガラムシによる間接的な被害としては、糞尿によって誘引される病気です。
カイガラムシは、植物の樹液を吸い、その中から自分にとっての栄養素だけを取り入れ、その他の養分は、体外へ排出します。その中には、糖分(甘露)も含まれており、カイガラムシが排出するその甘露に、多くの虫が集まったり、細菌類が発生したりします。
その細菌の中でも、すす病を引き起こす病原菌が、甘露につられて寄ってきやすくなります。それによって、観葉植物はすす病にかかってしまいます。すす病の感染源の多くがカイガラムシが排出する甘露で、すす病にかかると、葉っぱの表面に灰色や黒色の斑点が現れます。
カイガラムシの見つけ方
カイガラムシは、固着しすると滅多なことでは動きません。また、体長は小さいものの1mm以上はあります。そのため、注意深く観葉植物を観察すれば、容易に見つかります。
カイガラムシは、植物の上の方にある柔らかい枝や葉っぱに寄生しやすい性質があります。また、排出する甘露は糖類が多く含まれているため、枝などに付くとベタベタします。もし、そういった症状が見られた時は、そのベタベタしている部分より上の枝や葉っぱを探してみて下さい。
増殖すると集団で同じ箇所にいることも多いので、植物を観察した時、白っぽいものや茶色っぽいもの、粉っぽいものなど、明らかに植物の芽や花の蕾などとは異なるものが、沢山ついている時は、カイガラムシの発生を疑ってみて下さい。
また、カイガラムシは狭くて暗い場所を好むため、葉っぱの裏や枝が込み入っている場所なども注意深く観察してみましょう。さらに、上でも書いた通り、カイガラムシの排泄物には、糖類が含まれているため、アリがそれにつられて寄ってきます。もし、観葉植物にアリが群がっている時は、カイガラムシが寄生している可能性が高いです。
カイガラムシの駆除方法
出典:趣味時間
成虫になる前に
カイガラムシは、成虫に成ると身体を硬い殻や白い膜で覆ってしまうため、殺虫剤が効きにくいのですが、成虫になる前のカイガラムシは、そういった殻がないため、殺虫剤で駆除することが可能で何度も掛ける必要もありません。
ですから、成虫になる前に見つけて、早めに駆除することが一番です。カイガラムシは、春になると活動を始めるので、気温が暖かくなり始める3月から4月頃からは、特に観葉植物をしっかり観察して、幼虫がいないか確認して下さい。
葉水
また、葉っぱの表裏に定期的に葉水をする事で、葉っぱの健康を保つとともに、自然と葉っぱを観察することにも繋がるので、カイガラムシの寄生を予防することにもなります。
とはいえ、気付いたときには、もう成虫になっていた・・・。という可能性だってないわけではありませんよね。
歯ブラシ、ティッシュ
成虫になってしまったカイガラムシは、体を覆う殻のせいで、ほとんど殺虫剤が効かないので、使い古した歯ブラシやヘラで直接削ぎ落として下さい。
この時、葉っぱや茎を傷つけないようにそっとカイガラムシの横に歯ブラシやヘラを当て、そのままスライドさせるように削ぐと、カイガラムシを駆除することが出来ます。
また、削ぎ落としたカイガラムシが、植物の他の場所に付く可能性もあるので、飛び散る事を防止するために、駆除する時は、ゴミ袋等で駆除したカイガラムシを確実に確保してから、次の虫を駆除するようにしましょう。
もし、カイガラムシの数が少なく、数えられるほどしか寄生していない初期の段階であれば、ティッシュで拭い取ることも出来ます。そして、人の手では取りにくい奥まったところや狭い部分に寄生しているカイガラムシを、歯ブラシ等で削ぎ落としましょう。
切り落とす
カイガラムシの発見が遅れ、びっしりと大量に発生してしまった時は、駆除作業がとてつもなく大変な作業になるので、可能であれば、大量発生している部分を剪定し、取り除いてしまっても構いません。
この時も、カイガラムシがこぼれ落ちて他の場所につかないように気をつけ、切り落とした部分はすぐにビニール袋に入れましょう。
駆除する際、カイガラムシ自体は人に無害ですが、ネバネバした糸を引いたり、種類によっては削ぎ落とした時色がついた体液が飛ぶこともあるので、汚れてもいい服装で駆除しすることをお勧めします。また、駆除が終わったら、すぐに石鹸で手を洗ってくださいね。
実は、カイガラムシ用の殺虫剤が売っていないわけではありません。が、殻のあるタイプのカイガラムシの場合、どうしても効き目があまりなかったり、大量に発生している場合、折り重なって固着していることがあり、そうなってくると、殺虫剤を散布しても、届いてないこともあります。
なので、やはり直接削ぎ落とすか、専用の殺虫剤の中には、浸透性のあるタイプのものがあるので、それを選んで使用して下さい。
カイガラムシの予防方法(駆除後に気をつけること)
カイガラムシの成虫を駆除した後にも、タマゴが残っていてそれが孵化してしまうことがあります。駆除後は、カイガラムシ専用の殺虫剤をスプレーして対策するといいでしょう。
ただ、それで安心せず、水やりや葉水をするタイミングで、こまめにチェクし、早期発見・早期駆除を心がけましょう。他にも、「マシン油乳剤」という殺虫剤を1月から2月の冬の間に、散布することで、カイガラムシの発生を予防できます。
ただ、家庭にお子さんがいる場合など、殺虫剤の使用を避けたい場合は、移動が可能な観葉植物であれば、時々お風呂場や庭先まで運び、強めの流水(お風呂場の場合は、40℃ほどの温シャワー)で枝や葉っぱの表裏を流すことで、付いていた虫のタマゴやホコリを取り除くことが出来るので、害虫の発生を防ぐことが出来ます。
まとめ
いかがでしたか?カイガラムシは、一度駆除しても、翌年に再び発生したり、残っていたタマゴから孵化したものが成長してしまったりと、何度か見つかることがあります。毎日観葉植物を観察し、早期発見・早期駆除を心がけ、元気な植物を育てましょう。