観葉植物シペラスの枯れない元気な育て方、特徴、種類について紹介します。
観葉植物シペラスの特徴
出典:たまゆら
カヤツリグサ科シペラス属のシペラスはしだれ広がる葉が夏の涼感を感じさせる湿地性の植物です。古代エジプトでは紙の原料となったパピルスPapyrusもシペラス属の代表する植物です。(実際には葉のように見える部分は葉が退化したもので、総苞と呼ばれますがここでは便宜上葉と称します)
シペラスの仲間は全世界の熱帯から温帯にかけて600~700種あり、日本ではカヤツリグサなど30種近くが知られています。大部分は湿地に生える草といった分類になりますが、一部観賞用に栽培されるようになりました。
基本的に湿地で自生する植物であるため、観葉のシペラスは中庭の池であったり、水辺で栽培されます。
近年では他にない特徴的な爽やかな葉姿に注目が集まり、ショールームや住宅展示場のバスルームなどに配置されることもしばしばです。また、目に涼やかなシペラスは夏に清涼感をもたらしてくれる観葉植物として扱われることもあります。
観葉植物シペラスの育て方
出典:https://www.087greensmile.com/zukan/s_siperas/
日当たり・温度・置く場所
一年中日光のよく当たる場所で管理します。日陰にもよく耐えますが、観葉として室内で管理する場合、ある程度の明るさは必要です。バスルームなどに置く場合も窓がありガラス越しに光をあてることができるような環境であれば生育が可能です。成長期の4~10月はできれば戸外で日光にあてるとよく育ちます。
寒さには強く、耐寒温度0~5度程度と性質は強いので東京なら庭の陽だまりで越冬することもできますが、霜や雪は大敵です。凍てついた寒さは葉を痛めますので注意が必要です。
水やり
シペラスは湿地帯の植物ですので、4~10月の成長期は常に鉢土の湿度を保つことが必要です。とくにシュロガヤツリやパピルスは鉢皿に水をためるなどして、いつでも根が鉢底から水を吸い上げるようにしておきましょう。
夏は乾きやすいので朝晩気温が下がった時間帯に2回ほど水やりをするとよいです。冬は土が常に湿っているように水の加減をしましょう。
土
土はとくに選びませんが、保水性にすぐれ腐植質な用土がよいです。赤玉土6・腐葉土4程度で配合します。
肥料
肥料の与えすぎは茎が軟弱になり倒れる原因にもなりますので、与えすぎに注意して春に緩効性の化成肥料を少量置き肥する程度で十分です。コンパクトに育てたい場合は施肥の必要はありません。
病気・害虫
屋内で管理しているシペラスはまれにカイガラムシがつくことがあります。年間を通して発生しますので、見つけたら早めに取り除きます。白い綿状のものはコナカイガラムシです。
カイガラムシは昆虫の仲間で体長1、2mmで植物の樹液を吸って生きています。カイガラムシ自体が植物を弱らせる原因にはなりませんが、その排泄物が蜜状にベタベタします。
葉や茎についた蜜滴がスス病など病気の原因にもなりますので数が少ないうちにこすり落とし、ベタベタしていたら水拭きします
植え替え・植え付け
出典:(仮)ふら・ぐり
鉢植えの場合、地下茎が地上部にはみ出てきたり目視できる場合は植え替えのサインです。しかし根の成長はゆっくりで根張りしにくいので必要以上に植え替える必要はありません。
植え替えるときは春から夏にかけて、鉢から抜いたシペラスの古い土をとりのぞき植え付けます。大きくしたいときは一回り大きな鉢を使用しましょう。
増やし方(水挿し)
5月~8月頃、茎の先端部をカットして水をはったガラスのベースに逆さに入れたり、浮かせたりしておくと1~2ヶ月ほどで子株が出てきます。子株から十分根が伸びたら鉢上げします。水は2~3日に一回取り替えます。
茎が細くなり倒れてしまう
日陰にも耐えますが、丈夫に育てるために日光は欠かせません。特に成長期にはたっぷりと日光にあてましょう。
株が大きくなりすぎた
コンパクトに育てるなら肥料は必要ありません。大きくなりすぎたときは仕立て直しをしましょう。
仕立て直し
大きくなりすぎた株は春から夏にかけてしっかりと気温があがった時期に茎を基部から刈り込むとすぐに新芽がでます。新しく株を再生させるための方法を仕立て直しといいます。
シペラスの種類
シュロガヤツリ(アルテルニフォリア)
原生地:マダガスカル
多年草で、草丈40~90cmくらいに成長します。まっすぐに伸びる茎の先端から、長さ10~20cmの細い苞が傘のように広がります。ヤシ科のシュロの葉から連想してシュロガヤツリの和名がついたとされます。
花は苞の中心から花序枝となりそれぞれの先には小さな穂がつきます。はじめは小さな星のようで、成長するにつれて花穂も伸び、苞の中心部分を飾ります。
フイリシュロガヤツリ(アルテルニフォリア・バリエガータ)
シュロガヤツリの園芸品種で草丈が25~40cmと小さいです。葉に縦ラインの斑が入り若葉色で爽やかな印象です。
パピルス
原生地:南ヨーロッパ、熱帯アフリカ(ナイル川沿岸)
日本では温室の池の中で栽培されていることが多いです。古代エジプトでは本種の茎で紙を作ったとされ、Papyrusはpaperの語源になったとも言われています。湿地性多年草で草丈2~3mにもなります。
細く細かい葉のように見える部分は花軸で、茎の頂点から吹き上げるように生え、垂れ下がります。パピルスが風にそよぐ姿は美しいものがあります。
光と湿度、温度と条件が揃えば生育できるシペラスはインテリアとしても存在感があります。なかなか一般家庭の室内ではつねに水を張った状態で管理することは難しいのですが、バスルームは水分管理がしやすく、水をはって置きやすい利点があります。
またベランダやバルコニーでも外の光をあびせることができて最適です。バスルームとベランダを行き来させるなどすれば丈夫に育てることができます。暖かい地方のリゾートホテルなどでは屋外庭園のビオトープに水草や淡水魚と共にシペラスが生けられていることもあります。
小さめのシペラスが手に入ったら小さめのビオトープにチャレンジしてみましょう。水鉢にホテイアオイなどの水草を浮かべるとともにシペラスを生け込みます。鉢ごと沈めるとよいでしょう。水中でメダカなどを飼ってもいいですね。シペラスで涼しげな癒しの空間を演出してみませんか。