観葉植物の増やし方|挿し木と接ぎ木の方法

観葉植物の育て方を調べていると、その植物の増やし方として、よく「挿し木」や「接ぎ木」という言葉を目にします。でも、いったい挿し木や接ぎ木とは、どの様な方法なのでしょうか?挿し木や接ぎ木の特徴や方法について紹介します。

 

観葉植物の増やし方と種類

植物の増やし方には、大きく分けて2つの方法があります。それが『栄養繁殖(無性生殖)』と『種子繁殖(有性生殖)』です。

種子繁殖というのは、字のごとく、受粉によって出来たタネから増やす方法で、栄養繁殖というのは、接ぎ木や挿し木、とり木によって増やす方法をいいます。

 

後ほど詳しく説明しますが、接ぎ木というのは、台木に枝をくっつけて生長を再開させる方法で、挿し木は、枝や葉っぱなど、植物の一部を切って土や水に挿す方法です。その他にも、大量に増やすことは出来ませんが、失敗が少ないとり木という方法もあります。

何故タネがないのに、その様な方法で増やせるのかというと、それは、植物が持つ特有の性質に関係しています。植物は、動物と違って、初めから花になる部分、根っこになる部分、茎になる部分という具合に分かれているわけではありません。

 

地上部分と地下部分のそれぞれの先端(生長点)が、細胞分裂を繰り返して生長していく中で、世代交代が行われるタイミングで、先端部分が雄しべや雌しべといった生殖器官になり花になるのです。

つまり、動物のように、細胞が体のどのパーツになるか決まっているわけではないので、植物の一部分さえあれば、タネからでなくても植物を増やすことができるのです。

この増やし方は、いわばクローンによっての繁殖なので、母体となる植物と全く同じ形で、全く同じ性質の植物が出来ます。しかも、増やしたい植物のタネができるまでまたなくてもいいので、短期間で大量に増やすことが可能です。

 

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挿し木の方法

ここからは、挿し木の方法について詳しく説明していきます。

 

挿し木とは?

挿し木は、植物の一部を切り取って、土や水に挿して、その部分から根っこを生えさせる方法です。植物の一部が切られてしまうことで、生きるために土や水に浸かっている地下部に向かって根っこを出させる命令が出され、それによって発根することで、新しい植物の体を作る仕組みを利用しています。

この方法による特徴は4つあります。

  • 植物の一部を切って挿すだけなので手軽であること。
  • 植物の一部(茎や枝)が数センチあればできるので、1つの株から増やしたい数だけ苗を増やすことができるということ。
  • 親株のクローンを作る方法なので、特に珍しい品種などの場合、そのままの形質を純粋に継続させることができること。
  • タネができない性質の植物でも増やすことができること。

挿し木による繁殖をする場合に使う植物の一部を「挿し穂」といい、何を挿し穂にするかで呼び方が変わってきます。例えば、葉っぱを指す場合、葉挿しといい、茎を挿す時は、茎挿しと呼びます。ただ、呼び方は変わっても、土や水に挿す方法は替わりません。

 

 

挿し木の条件

挿し木を成功させるのに向いている植物は、成長ホルモンを沢山作り出せる植物ではあるのですが、多少そのホルモンの分泌が少なかったとしても、環境の条件を整えることで、少しでも音を出しやすくさせることが出来ます。

その条件というのが、植物を育てるのには欠かせない『温度・湿度・通気性・水分・日当たり・用土』です。植物全般的に、土の温度が20~25℃のときに、よく発根するといわれています。これは、挿し木においても同じことがいえます。湿度に関しては、90%くらいが最適といわれています。

 

湿度が90%というのは、地上部の話であって、地下部においては、通気性が重要になってきます。ただ、通気性が良すぎて土が乾きすぎても根っこが伸びにくいので、挿し木の場合は、素焼きの鉢を使用するのはあまりおすすめできません。

挿し穂に葉っぱなどが残っているものを使用する場合、根っこがなくても、葉っぱから水分が蒸発していくため、根っこが出るまでの挿し穂は、乾燥しやすい状態にあります。

 

それなのに、日当たりの良い場所に置いておくと、日陰の場所にあるものより倍以上の蒸散量になるため、発根するまでは、明るい日陰で管理し、根っこが出てきたら早めに日当たりの良い場所に移動しましょう。

ただし、いきなり日当たりの良い場所に置くと、弱ってしまう可能性があるので、徐々に日の光に慣らすようにして下さい。

 

用土の関しては、通気性と保水性が求められます。保水性の高い赤玉土と通気性のある鹿沼土、バーミキュライトや川砂などが良く用いられますが、園芸店やホームセンターなどでタネまき用土や挿し木用土が市販されているので、そちらを使うと手軽で安心です。

これらの条件を考えると、日本においては梅雨時期に挿し木を行うのが、最も適した季節だといえます。

 

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挿し穂の上手な作り方

挿し穂は、徒長枝を使うことで発根しやすいです。ただ、枝の先端部分や元も部分は、軟らかすぎたり硬すぎたりして適していません。また、古い枝を使うと発根が悪いため、若い木から挿し穂をとるようにして下さい。

常緑樹や生長期の落葉樹は、生長点に近い部分を挿し穂に使いますが、葉っぱが茂りある程度生長が止まってから(伸びが止まってから)でないと、生長することにエネルギーを使うため、発根にエネルギーが回らなくなるので注意が必要です。同様に、挿し穂に花芽が付いていても、発根率が下がります。

 

挿し穂を作るときには、最低でも芽が出る1節は必要となります。予備として1~2節付けてもいいですが、長すぎる挿し穂は、生育後の樹形が悪くなるので、1節~2節程度にしておいたほうが良いでしょう。

上記した通り、挿し穂に葉っぱがたくさんあると、蒸散量が多くなってしまいますが、葉っぱは、養分を作る役割を果たすため、挿し穂に葉っぱがまったくないと、発根の際のエネルギーが作れず、失敗してしまう可能性があります。

 

そこで、葉っぱは土に挿す部分のものは取り、残りの葉っぱは、小さいものはそのままで大きい葉っぱは、半分から1/3にカットして下さい。

また、挿し穂を作る時ハサミで切ると、形成層が潰れ根っこが出にくくなるので、ナイフやカミソリなど、切れ味が鋭く薄い刃物で切るようにしましょう。また、挿し穂の地下部となる部分は、挿し木をする前に斜めにカットして下さい。

 

 

挿し木作業の成功ポイント

実は、代表的な挿し木の方法として、「梅雨ざし」と「春ざし」というものがあります。どの季節に挿し木をするかによって、作業工程が多少異なります。ここでは、成功しやすい梅雨ざしについて紹介します。

 

 

鉢をバケツに入れる

発根するまでは、乾燥は厳禁です。乾燥を抑えるために鉢に入れる用土を浅くし、水を張ったバケツに鉢ごと入れて、用土の隅々まで水がいきわたるようにして下さい。その状態で作業します。

 

 

挿し穂の水揚げをする

水揚げといは、バケツなどの容器に水を張ってそこに挿し穂を入れることです。そうすることで、挿し穂の乾燥を抑えることが出来ます。水揚げの時間は大体1時間くらいです。

このとき、発根しやすくするために市販されている「発根促進剤」を水に混ぜたり、水揚げが終わった挿し穂の切り口にまぶしたりすることで、発根率が高まります。

 

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挿し木は、鉢の縁へ

挿し穂を挿す時は、切り口を傷つけないために、あらかじめ箸などの細い棒で穴を開けておきます。穴は、鉢の縁に沿って深めに開けましょう。その後挿し穂を挿しますが、挿し穂は、芽が出る節や葉っぱを埋めない程度まで深く挿しがほうが、挿し穂が安定し、発根しやすくなります。

挿し穂を挿した時、葉っぱが触れるか触れないかくらい密な間隔で挿しましょう。挿し終わった後は、挿し穂がぐらつかないように土を指で軽く押さえ、その後土の上から再度水やりをしましょう。

 

 

密閉ざしで管理する

梅雨ざしの場合、挿し穂は生長途中なので、葉っぱからの蒸散量を減らす事が大切です。そのために、鉢全体にビニール袋などをかぶせる「密閉ざし」をすることで、蒸散を抑え空気中の湿度も高めることが出来ます。

密閉ざしでは、頻繁に水やりをすることが出来ないので、鉢底に受け皿などを敷き、そこに水を張る底面給水をするといいでしょう。密閉ざしにした鉢は、明るい日陰か半日陰の場所で管理して下さい。

ただ、この方法の場合過湿によって挿し穂を腐らせてしまう可能性もあるので、過湿に弱い植物や柔らかい茎の草花の挿し木の時は、ビニール袋に穴を開けて、空気の通り道を作っておきましょう。

 

 

途中で抜かない

挿し木をすると、挿し穂からちゃんと音が出てきたか気になり、生長の様子を確認したくなりますが、途中で挿し穂を抜くことは、絶対にしないで下さい。

 

 

挿し木が成功した後は?

挿し木が成功し発根したら、挿し穂は生えてきた根っこから水分を吸収できるようになります。次は、葉っぱが活動しやすいように、できるだけ早めに日当たりの良い場所へ移動しましょう。

ただ、今まで半日陰や明るい日陰にいたのに、急に日当たりが良い場所に移動すると、急激な環境の変化に、苗へのダメージが大きくなるので、なるべく少しずつ日当たりの良い場所に慣らしていって下さい。

また、水やりの頻度も少しずつ減らしていきます。そうすることで、根っこが水を求めて伸びやすくなります。

 

 

接ぎ木の方法

ここからは、接ぎ木について詳しく説明していきます。

 

接ぎ木とは

接ぎ木は、「台木」と呼ばれる根のついた植物に、芽のついた「穂木」をくっつけて生長を再開(活着)させ、穂木の生長を促す方法です。

方法としては、穂木の台木につなぎ合わせる部分の形成層が見えるまで樹皮をそぎます。台木は、形成層の位置を確かめながら切込みを入れ、その切れ込みに台木と穂木の形成層が合わさるように癒合させます。

 

この方法は、草花にも使えますが、それらを接ぎ木する場合は、接ぎ木をした後の管理が難しいので、主に木の栄養繁殖で用いられる方法です。接ぎ木の特徴は、7つあります。

  • 発根しにくい植物や生長が遅い植物の種類を増やす。
  • すぐに開花や結実させることができる。
  • 穂木の親株と全く同じ形質を作り出せる。
  • 穂木に一芽あれば増やせる。
  • 病気に抵抗性がある苗が作れる。
  • 植物の苦手な性質(暑さ・寒さなど)の環境でも種類を増やせる。
  • 植物の声質を変えて育てる事ができる。

下の3つの特徴は、どのような台木を使うかによって大きく変わってきます。台木が病気に強かったり、耐寒性・耐暑性のある生命力の強い植物だったりといった性質のものであれば、そこに接ぎ木した穂木も、生育環境や性質の影響をほとんど受けず、すくすくと生長していきます。

 

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接ぎ木の種類

接ぎ木の方法は「居つぎ・あげつぎ」があり、居つぎは、台木が育っている場所で接ぎ木をすることで、あげつぎは、台木を一旦掘り起こし、接ぎ木をしてから新たな場所に受け付ける方法です。

居つぎは、作業後の成長が早いというメリットがあり、落葉樹の繁殖でよく用いられます。あげつぎは、場所や環境をこちらで決められるとうメリットがあり、活着しやすい植物でよく行われる方法です。

 

また、穂木をつぐ位置によって「高つぎ・元つぎ」に分かれます。高つぎは、穂木だけでなく台木の枝葉も一緒に育てることが出来ます。元つぎは、穂木の生長にだけ重点を置いた方法で、台木となる植物は、根っことしての役割だけを果たすように、台木にある芽や葉はかき取ります。

また、接ぎ方によっても『切り接ぎ・割り接ぎ・腹つぎ』などがあります。切り接ぎは、最も一般的な方法で、台木を水平に切ってから角を落とし、形成層にそって切り込みを入れ、そこに穂木を差し込む方法です。

割り接ぎは、台木を水平に切った後、だいたい中心に垂直に切込みを入れ、そこに穂木を差し込み方法で、腹つぎは、台木はそのままで、形成層があらわれるように、楕円形に表皮を削いで、そこに穂木をあわせる方法です。

 

 

穂木と台木の選び方

穂木の状態が良いと、活着もしやすく、その後の生長も順調になります。そのためにも、穂木は、日当たりの良い場所で育った節と節の間が詰まっている若い枝を選びましょう。

また、枝のエネルギーが傷口の癒合に使われるように、芽が動き出す前の枝を穂木に使うようにして下さい。そして、穂木は、作業直前に削ぎ落とし、あらかじめ用意しておいた湿らせた布でくるんで、切り口が乾かないようにして下さい。

台木は、穂木と同じ種類もので、活発に活動しているものを使います。また、台木が栄養が十分で順調で健全に生長しているものを選んで下さい。

 

 

接ぎ木を成功させるポイント

接ぎ木で一番大切なことは、穂木と台木の形成層をできるだけたくさん密着させることです。というのも、密着している部分がお互いに癒合して、台木の根っこから吸収された水分や養分を通す通路が貫通するよようになるからです。

成功させる接ぎ木の方法は以下の通りです。

 

 

表面積を増やし、形成層の接地面積を大きくする

密着面を大きくするには、枝の切り口を斜めにしたり、形成層に沿って削ぐようにして樹皮をはぐことでて表面積を増やすことが出来ます。薄い層である形成層をぴったり合わせるためには、お互いの位置をしっかりと確かめて接ぐ必要があります。

 

 

切り口をなめらかにする

デコボコした切り口では、形成層がしっかりと密着できず癒合しません。そのため、切り口を切れ味の鋭い刃物で、一回でスパッと切るようにします。ある程度失敗してもいいように、何本か穂木を確保してから、切り口をなめらかにするといいでしょう。

 

 

癒着面を固定する

形成層をぴったり合わせることが出来たら、ずれることがないように作業が終わるまで、しっかり手で押さえ、接ぎ木した部分を「接ぎ木テープ」で水が入らないように強めにまきましょう。

 

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接ぎ木の管理方法

管理環境としては、挿し木のときとほどんど変わりないので、温度・湿度・日当たり・水やりに関しては、『挿し木の条件』を参照にして下さい。接ぎ木においても穂木に葉っぱがある時は、保湿と保温のために、作業終了後に必ず鉢をビニール袋で覆って蒸散を抑えて下さい。

接ぎ木の管理において重要なのは、密閉して湿度を高めることです。というのも、水やりすることで、つぎ口に水が入ってしまうと、活着しなくなるので、なるべく高い湿度を保ち、水やりをする時も、つぎ口に水がかからないように注意して下さい。

芽が動き出したのを確認したら、ビニール袋に穴を開けて少しずつ外気に慣らし、それと同時に日光にも徐々に慣らしていきます。

接ぎ木テープは、秋口に穂木(接ぎ穂)が大きくなりだすまで放置しておいて大丈夫です。接ぎ穂が太りだしてもテープがそのまま付いているテープが食い込んでしまうので、傷つけないようにそっと剥がして下さい。

 

 

まとめ

植物の増やし方について紹介しました。植物を増やす方法は種を植えるだけではなかったのですね。もし、自分が育てている植物を増やしたい方は、「挿し木」や「接ぎ木」で増やしてみてはいかがでしょうか?