植物を育てていて、突然枯れてしまったり、葉っぱが変色してしまったりすると、何かの病気なのかしら??と心配になります。病害虫に寄って植物に現れる症状と予防方法について解説します。
観葉植物の症状で見る病気・害虫のシグナル
植物に現れる症状によって、どの様な病害虫が発生しているのか、ある程度予測することが出来ます。ここでは、植物に現れる症状別に、発生している可能性がある病害虫を紹介します。
株全体に現れる症状
株全体が萎れ、枯れ上がる
根腐れ病
水やりをしているのに、葉っぱが萎れて黄色くなったり落葉したりします。症状が進行すると、株が死んでしまいます。
つる割れ病
日中は、まるで水切れを起こしたかのように萎れているのに、夕方になると回復します。このような症状を繰り返し、次第に下葉から黄色くなって枯れていきます。
白絹病(しらきぬびょう)
土に近い株元やその周りの土が、白い糸のような菌糸で覆われ、その部分が腐って断ち枯れてしまいます。
ネコブセンチュウ
害虫による被害です。害虫が根っこに寄生したことで、株全体が枯れていきます。株を引き抜いて根っこを見てみると、センチュウの寄生により、根っこに大小様々なコブが出来ています。
茎や葉っぱが腐って枯れる
疫病(えきびょう)
茎や葉っぱに、水がしみたような暗褐色の病斑が現れ、次第に腐って枯れます。腐った部分には、白いカビが生えます。
根元が腐る
軟腐病(なんぷびょう)
地面に近い根元の部分が溶けて腐り枯れます。腐敗した部分は、悪臭を放つようになります。
茎や枝に現れる症状
萎れて首が垂れる
青枯病(あおかれびょう)
数日前まで元気だった植物が、葉っぱや茎の変色がなく、緑色のまま急に萎れて、株全体が数日の内に枯れ、根っこも腐ります。
キクスイカミキリ
害虫による被害です。害虫が産卵するために、茎に傷を付け底に卵を産み付けることで、傷つけられた茎より先に栄養分が届かず、先端が萎れていきます。
何かがついている
※害虫の場合は、茎や枝だけでなく、葉っぱの裏にいる場合もあります。
アブラムシ
赤褐色色や緑色をした小さな虫が、茎にびっしりと付きます。根が吸い上げた栄養分を吸汁するため、植物の生長が阻害されます。
カメムシ
種類によって、体の大きさや形、色などが異なりますが、どれも寄生した植物から栄養分を吸汁するため、生長を阻害します。
カイガラムシ
貝殻のような厚い殻のようなもので身体を覆って、密集してくっつきます。殻を覆った状態では、殺虫剤が効きにくいため、直接擦り落として駆除します。
葉っぱに現れる症状
穴が開く
何らかの害虫が葉っぱを食べているサインです。葉っぱを食べる虫は多いですが、代表的な種類としては、蝶々の幼虫(アオムシ)やコガネムシ、ハムシ、ヨトウムシなどが挙げられます。
斑点が現れる
べと病
葉っぱに黄色くて多角形の斑点が現れ、その葉っぱの裏には、カビが生えます。病気が進行すると、下葉から枯れます。
炭そ病
褐色で円形の斑点が現れます。病気が進行すると、中心部から白っぽい灰色になり、穴が空いて枯れてきます。
すす病
最初、黒くて丸い斑点が現れます。病気が進行すると、葉っぱ全体が、すすのようなカビで覆われます。
黒星病
円形で黒褐色の斑点が現れます。病斑は、下葉に現れ、病気が進行すると、植えの葉っぱにどんどん広がり、更に進むと落葉し株全体が弱ります。
ゴマ色斑点病
新葉に小さな斑点がたくさんでき、その周辺がぼやけた紫~赤色になっていきます。病気が進行すると、葉っぱが次々と落ちて最終的に、株が丸坊主になることもあります。
葉っぱの色素が抜けかすり状になる
ハダニ
ハダニという1mm以下の小さな害虫が、葉っぱの裏に寄生するため起こる症状です。葉っぱの裏から養分を吸汁し、その箇所の葉っぱの色が抜けて、かすり状に白い斑点が出来ます。
また、ハダニが寄生している場合は、葉っぱに蜘蛛の巣のような糸が張られることがあります。
グンバイムシ
葉っぱの裏に、成虫と幼虫が寄生することで起こる症状です。成虫、幼虫ともに葉っぱから吸汁するため、その跡が、色が抜けて白い斑点になります。また、グンバイムシの排泄物で、葉っぱの裏が黒く汚れています。
白くなる
うどんこ病
最初は、白い斑点のようなものが現れます。この病斑は、白い粉のようなカビで、病気が進行すると全体がカビに覆われます。また、葉っぱだけでなく茎に発生することもあります。
観葉植物の病気への対処方法
植物に上記のような症状が現れた時の、対処方法について紹介します。
根腐れ病
植物が根腐れ病を起こす時、多くの場合、その原因は土壌内の酸素不足によるものです。そのため、鉢の中の土を新しい土と入れ替えます。このとき、有機質を含まない清潔用土を物を選ぶようにして下さい。おすすめは、赤玉土です。
根っこに付いた土も全て落とし、黒くなっている根っこも園芸用のハサミなどで切り落としましょう。また、根腐れを起こした根っこは、水分や養分を吸い上げることが殆どできません。そのため、葉っぱや枝が生い茂っている状態だと、植物に大きな負担がかかります。
なので、なるべく葉っぱや枝を切り落とし、根っこがあまり吸水できなくても、植物全体に水分が行き渡るようにします。
つる割れ病
この病気は、根元の茎が割れてカビが生え、病原菌に侵された根っこは褐色に変色して腐っていきます。発生時期としては、5月~10月です。
対処方法としては、病気を発症した株を土から抜き取り、周辺の土も一緒に処分しましょう。鉢植えの場合は、鉢にある土を全て処分したほうが良いでしょう。また、根っこから病原菌が侵入するため、病気を発症してしまうと、薬剤での対処はできません。
白絹病
株元付近の茎に白い絹糸のようなカビが生えます。また、土に近い部分は、水が染みたようになって腐り、株が倒れてしまいます。発生時期としては、6月~9月に多く発生します。
また、鉢植えの植物の場合は、根っこに白いカビが生えることもあるため、根っこの生育状態が悪くなります。対処方法としては、発症してしまった植物を周辺の土も一緒に掘り上げて処分します。特に、土と茎が接していて白くなった部分の土や菌核である褐色の粒は、残さずに取り除いて下さい。
病原菌は、10cmより深い地中では生きられないので、残った土は、10cmより下の土と入れ替えて下さい。病気の発見が初期段階であった場合、育てている植物に登録のある薬剤を株全体と、周辺の土に十分にかかるように散布することで、病気を対処することが出来ます。
疫病
疫病は、あらゆる植物で発症する病気で、感染力が強く一度発症すると、被害も甚大であるため、特に注意が必要な病気の1つです。発症時期としては、6月から8月に多く発症しやすいです。病原菌は、土壌の中に潜んでおり、水やりの時や雨が降ったときに、土が跳ねることで植物に感染します。
病気が発症した時は、株と植えていた箇所の土をすべて取り除きます。また、被害が進んでしまうと、薬剤治療は難しいので、予防治療として、梅雨前や秋雨時期前に、適用のある薬剤を散布しましょう。
また、水による泥ハネが原因となるため、水はけの良い土に植え替えたり、株元にマフチングをして泥跳ねを防ぐようにすると、ある程度病気の発症を防ぐことが出来ます。また、ベランダなどの屋外で育てる場合は、雨に当たらないような場所で管理すると良いです。
軟腐病
土壌内に潜む細菌が雨などによって、害虫の食害などで傷ついた箇所部分から侵食して発症します。4月から10月いっぱいまで発生しやすいです。
病気を発症してしまった株は、その植物の周りの土も一緒に処分しましょう。発症後には薬剤が効かないため、予防治療として、発症前に適用のある薬剤を丁寧に散布しましょう。
また、土の水はけが悪いと発症しやすくなるため、水はけの良い土を使用し、植替えや剪定などの世話をする時は、天気の良い日に、必要以上に植物を傷つけないように注意します。
青枯病
葉が緑色のまま急に萎れる青枯病は、萎凋病や立枯病の初期症状にも似ていますが、青枯れ病の場合、土の間際の茎を切ると乳白色の汁が出るため、そこで見分けが付きます。病気を発病した株は、他の植物に感染するのを防ぐために、根っこから引き抜き、周りの土も一緒に処分します。
根っこに傷があると、そこから細菌が感染しやすいので、植替えや植え付けなどの作業の時は、根っこを傷つけないように気をつけ、また、鉢の土は水はけの良い土を使用しましょう。
べと病
べと病は、3月下旬から6月、9月半ばから11月に多発します。発症した葉っぱや落葉した葉っぱは、早めに取り除いて処分して下さい。べと病は、薬剤での治療が可能なので、キュウリやメロン、白菜などには、適用のある薬剤を発症初期に、葉っぱの裏まで丁寧に散布して下さい。
この病気は、葉っぱや枝が密集している箇所や窒素肥料の過不足などで発症しやすくなります。なので、密集した箇所は剪定をして日当たりや風通しを良くしたり、肥料は、用法用量を正しく施すようにしましょう。
炭そ病
炭そ病は、4月から11月に多発し、葉っぱや茎、果実などで発症します。被害にあった葉っぱや落ち葉は、取り除いて下さい。また、発生初期であれば、炭そ病に適用のある殺菌剤を植物全体に散布することで、拡大を防ぐことが出来ます。
すす病
すす病により発生した黒いカビは、植物に直接寄生しているのではなく、害虫の排泄物を栄養として繁殖しています。そのため、この病気を発症したときには、その原因となっている害虫を駆除し、多発している枝や葉っぱは切り取り、落ち葉は取り除いて処分して下さい。
害虫が発生しないように、定期的に剪定をし、風通しを良くして、日当たりの良い場所に置いて育てることが、すす病発症の予防にも繋がります。
黒星病・ゴム色斑点病
これらの斑点性の病気は、放置しておくと、周りにある他の植物にも伝染するので、発病している葉っぱや茎を見つけたら、すぐに取り除いて処分して下さい。
また、発症した植物に適用のある薬剤(ダコニール1000,オキシラン水溶液など)を葉裏まで丁寧に散布することで、拡大を防ぐことが出来ます。
うどんこ病
4月から11月の、雨が少なく乾燥した涼しい時期に発生する特徴があるため、特に、初夏や秋口に発症しやすいです。
発症した株や葉っぱ、落ち葉をそのままにしておくと、それが感染源として病気が拡大するので、早めに取り除いて処分しましょう。薬剤は、病気が進行すると効かないので、使用する場合は、初期の段階で、葉の裏まで丁寧に散布して下さい。
葉っぱや枝が込み入って風通しが悪くなったり、窒素肥料を与え過ぎたりすると、病気になりやすいので、定期的に剪定をしたり、肥料を与える時は、適切な量を与えるように気をつけましょう。
観葉植物の害虫への対処方法
植物が害虫被害を受けた時、それらへの対処方法として薬剤を散布したり、直接手で取り除いたりするしか方法がありません。植物に害を与える虫たちは、ハダニのように、一見しては見つけにくい1ミリにも満たない大きさのものから、カメムシなどのように数センチのものまで様々です。
害虫には、大きく分けて2タイプあり、ハダニやアブラムシのように、寄生した場所から、植物の養分を吸汁する「吸汁性害虫」と、アオムシや(ここでは書いていませんが)ナメクジなど、葉っぱや根っこを食べる「食害性害虫」に分かれます。
吸汁性害虫の場合は、身体が小さな虫が多く、多発し被害が広がるまで気づかないことが多いです。食害性害虫の場合は、目に付きやすいものの、一般的に大食漢であるため、植物が丸坊主になってしまうほどの被害が出ることもあります。
どちらにしても植物に多大な被害を与えるため、対処するためには、どの害虫が潜んでいるのか、その正体を知る必要があります。害虫によって植物が被害を受ける部位から、大まかに3つのグループに分けることが出来ます。
害虫が植物に被害を与える場所としては、花や葉っぱ、茎や芽などの「地上部」に潜んで被害を与えるものと、根っこや地下茎などの「地下部」に潜んで被害を与えるものがいます。
更に、地下部に潜む害虫には、地中深く潜むものと、地際に潜み発芽したばかりの芽に被害を与えるものがあります。
根っこや地下茎に被害を与える害虫
センチュウ類やコガネムシの幼虫、ハリガネムシ、ネダニ等が挙げられます。
センチュウ類の対処方法
センチュウ類は、体長が1mm以下で、ネコブセンチュウのように根っこにコブを作るものの他にも、根っこや葉っぱを枯らすものもいます。
センチュウ類は、根っこや球根について土壌内で増えることもあるので、被害にあった株は、根っこを残さないように抜き取って処分して下さい。また、植物を植え付ける前に「ネマトリン粒剤」を土に混ぜ込むことでネコブセンチュウの発生を防除することが出来ます。
地際部に被害を与える害虫
地際部に潜む害虫では、カブラヤガ、タマネガヤ、ネキリムシ等が挙げられます。なかでも、カブラヤガによる被害は多く、夜間に活動を開始し、発芽したばかりの芽や茎を食害します。
地上部に被害を与える害虫
吸汁する害虫
アブラムシ・カイガラムシ・ハダニ・グンバイムシ・カメムシ等が挙げられます。カメムシ以外は、体長がとても小さいので、発見するのが難しく、見つけたときには多発しており、被害も広がっているということがよくあります。
アブラムシ類の対処方法
アブラムシは、群生して吸汁するため、比較的見つけやすい害虫なのですが、繁殖スピードが速いため、見つけ次第直接潰すか、殺虫剤を散布して駆除して下さい。
もしくは、黄色いものに誘発される性質を利用し、黄色の粘着トラップを仕掛けて成虫を捕獲したり、キラキラした反射光を嫌う性質を利用して、シルバーマルチやアルミ箔を鉢やプランターに敷いて、忌避して下さい。
カイガラムシ類の対処方法
カイガラムシは、名前の通り、身体を貝殻のような殻で覆う種類が多いため、薬剤は効きにくく、直接歯ブラシなどで擦り落として駆除します。
ただ、卵からかえったばかりの幼虫や殻をかぶらないコナカイガラムシには、薬剤は効果があります。幼虫は4月~7月に発生するため、その頃に月2~3回適用のある薬剤を散布して下さい。
ハダニ類の対処方法
ハダニは、葉っぱの裏に群生して寄生することが多いです。ハダニが発生した時は、初期であれば、粘着性のあるテープで捕殺します。ただ、この時粘着力の強いテープや乱暴に剥がし取ると、葉っぱを傷つけることがあるので、丁寧に捕殺して下さい。
若しくは、適用のある殺虫剤をすることでも駆除できます。薬剤を使用する時は、葉裏にかかるように丁寧に散布するようにして下さい。かけむらがあり、生き残りがいると、再び増殖してしまいます。
また、同じ薬剤を使い続けると、免疫ができて薬剤の効果が薄れることがあるので、ハダニを駆除する時は、数種類の薬剤を交代で使用することをお勧めします。
グンバイムシ類の対処方法
4月~10月に多く発生します。この時期には、こまめに葉っぱの裏をチェックしましょう。もし、無視を発見したときには、その都度捕殺するか発生初期であれば、適用のある殺虫剤を散布して駆除して下さい。
グンバイムシは、葉っぱの裏に寄生していることが多いので、殺虫剤を散布する時は、葉裏を中心に、植物全体に散布するようにしましょう。
カメムシ類の対処方法
こまめに植物を観察し、成虫や幼虫を見つけ次第捕殺しましょう。ただ、手で触ると臭くなるので、捕殺するときには注意して下さい。殺虫剤を使う場合は、適用のある薬剤をカメムシの発生に合わせて繰り返し散布して駆除して下さい。
観葉植物の病気・害虫の予防対策
植物が病気や害虫の被害を受けないようするには、それらを寄せ付けない環境を作ることが基本となります。植物が健康に育つには、『水はけ・風通し・日当たり』を良くすることが大切です。
湿度が高くてジメジメとした様な環境で植物を育てると、病気や害虫が発生しやすくなります。植物を育てる場合、ほとんどの植物は排水の良い土が育成に適しているので、水はけの良い腐葉土やピートモスなどを用いて、植物に適した土を作ります。
植物に適した土作りに自信がない人や、初めて植物を育てる人は、ホームセンターや園芸店で売られている、観葉植物や野菜に適した用土を用いても良いでしょう。
鉢やプランターを置く前に、その場所の日当たりや風通しが十分であるかをチェックして下さい。風通しが良いと、湿度が低くなるので、病原菌の活動を抑制することが出来ます。
また、植物が生長して枝や葉っぱが密集することで、風通しや日当たりが悪くなります。定期的に間引きをしたり、整枝・剪定をしたりして、植物の風通しや日当たりを良くすることも、病害虫から守るための大切なポイントです。
その他にも、鉢やプランター内に生えた雑草をこまめに取ることも、病害虫を予防することに繋がります。というのも、植物の側で生えている雑草が病害虫の住処になってしまうことがあるためです。
また、落ち葉や枯れ葉に病害虫が潜んでいたり、それらの養分になることもあるので、こまめに除草し、落ち葉や枯れ葉も取り除いて、鉢やプランター内はいつもきれいにしておきましょう。
まとめ
植物が病害虫の被害にあった時の症状と対処方法について紹介しました。今回紹介した病害虫の他にも、様々な病気や害虫がいますが、それらの被害を受けないようするには、こまめに育っている環境や植物の様子を観察することが大切です。