観葉植物に寄生する害虫は、色々いますが、コナジラミもそんな害虫の一種です。ハダニやアブラムシなどの害虫よりも馴染みは薄いかもしれませんが、どんな植物にでも寄生し、あっという間大量発生する厄介な害虫です。コナジラミについて防除方法や特徴などについて紹介します。
観葉植物の害虫コナジラミの特徴
出典:Wikipedia
コナジラミは、カメムシ目の昆虫で、野菜・観葉植物・果樹など、どんな植物にでも寄生し吸汁します。体長は1mm~3mmほどで、身体はクリーム色をしており白く長細い羽があります。
幼虫や卵は、とても小さく楕円形をしています。約28日周期で完全変態し、卵から幼虫、蛹(さなぎ)の時代を経て成虫になります。発生時期としては、高温で乾燥した環境を好むため、春から秋(4月~10月)の気温が暖かく乾燥した時期に発生しやすいです。
また、通常28日周期の変態も、夏に入り本格的に発生し始めると、10日~14日周期で卵から成虫に生長するので、あっという間に数が増えてしまいます。
さらに、コナジラミの一種であるオンシツコナジラミに関しては、温室や室内など温かい環境の場所で発生しやすいので、冬でも繰り返し発生することがあります。
寄生した植物を揺すると成虫が一斉に飛び立ち、その様子が白い粉が舞うようにみえるので、コナジラミと呼ばれています。もし、植物を揺らして白い粉が舞ったなら、コナジラミの発生を疑ったほうが良いでしょう。
完全変態するには、成虫に成るまでの期間が短いため、幼虫時期に養分を得やすいように、成虫は植物の柔らかい部分(新葉裏)に産卵します。よく目にするコナジラミとしては、上で挙げたオンシツコナジラミの他、タバココナジラミ・ツツジコナジラミ・ミカントゲコナジラミなどです。
コナジラミの被害
コナジラミの成虫は、寄生した植物の中の若くて柔らかい葉っぱの裏で吸汁したり産卵を行います。コナジラミに寄生された葉っぱは、吸汁された箇所の葉緑素が抜けるため、白いかすり状になってしまいます。
また、栄養素が吸汁されることで、生育状態が悪くなります。さらにコナジラミが大量に発生して、吸汁量が増えることで寄生された植物が、枯れてしまうこともあります。
ほかにも、幼虫から成虫にかけて甘露といって、糖分を含んだ甘い排泄物をするため、それにつられて寄ってきた病原菌により、すす病を発症させたり成虫がウイルス病を媒介したりすることによって、様々な病気を発症するリスクが高くなります。
発生原因
コナジラミが、成虫は羽があるため、飛んで他の植物に移動することが出来ます。自宅周辺の植物や菜園でコナジラミが発生した場合、窓を開けていたり屋外で日光浴させたりしている間に、それらが飛来して寄生したことで、発生することがあります。
観葉植物を守るコナジラミの駆除方法
出典:http://www.gardening-designs.com/
殺虫剤
コナジラミを駆除するには、殺虫剤の散布が一番手っ取り早いのですが、完全変態をする昆虫であるため、幼虫や成虫に効果がある殺虫剤でも、卵や蛹(さなぎ)の間は、この効果が期待できません。
そのため、少し時期を空けて繰り返し殺虫剤を散布する必要があります。コナジラミの駆除に効果のある薬剤としては、ベニカスプレーやベニカXスプレー、ベストガード粒剤といったものがあります。
これらは、浸透移行性剤なので、薬剤に含まれる有効成分が、植物の体内に吸収されることで、一定期間効果が持続されます。もし、子どもがいたり、薬害が心配で殺虫剤を使うことに抵抗がある場合は、そういったものを使わずに駆除する方法もあります。
牛乳・粘着君
コナジラミの発生が初期段階で、数が少なければ、牛乳を同量の水で割ったものを霧吹きなどに入れ、コナジラミに向かって散布して下さい。牛乳の成分によってコナジラミは窒息するため、駆除することが出来ます。
ただし、この方法も卵や蛹の間は、効果が期待できないので、繰り返し散布する必要があります。また、そのまま放置しておくと、牛乳が腐って匂いがきつくなったり、カビの原因になったりするので、しばらく時間を置いた後、必ず水できれいに洗い流すようにして下さい。
牛乳と同じく、害虫を窒息させて駆除する方法として、『粘着君』という薬剤を使う方法があります。これは、主成分がデンプンを使用しており、デンプンの粘着性質を利用して駆除するため、薬剤性は殆どありません。
ただ、これはホームセンターなどには、あまり置いていないようで、購入する場合、ネットでの購入になるようです。
黄色い粘着性のある板
ほかにも、コナジラミが黄色いものに集まるという性質を利用して、駆除する方法もあります。黄色い粘着性のある板を寄生された植物の先端付近に吊り下げて設置しておくことで、成虫を誘引し、捕獲することが出来ます。
この黄色い粘着性のある板は、工夫次第で作ろうと思えば自分で作ることも出来ますが、ネットや100円ショップなどで、購入することが出来ますので、そちらを利用したほうが簡単で便利かもしれません。黄色い板の作り方の一例を紹介しておきます。
用意するもの
- 黄色の画用紙(若しくは黄色の厚紙)
- 両面テープ
- 観葉植物の樹高と同じくらいの棒
- 画用紙に穴を開けられるもの、紐
作り方
- 黄色の画用紙(若しくは厚紙)を適当な大きさに切る
- 適当な大きさに切った画用紙の裏表全体に、両面テープを貼る。この時なるべく間を空けずに貼って下さい。
- 画用紙の角に穴を開け、紐を通す。
(用意するものに穴あけパンチと書きましたが、画用紙に穴が開けられれば、ハサミや鉛筆などなんでも大丈夫です。もし、それらで孔を開ける場合は、その箇所だけ両面テープを貼らずに空けておくと、穴を開けやすくなります。) - 用意した棒に3をくくりつけ、両面テープの保護シートを剥がし、鉢に立てる。
天敵
また、「クロヒョウタンカスミカメムシ」や「タバコカスミカメムシ」といった、コナジラミの卵や幼虫を食べてくれる、コナジラミにとっての天敵を上手く利用するという方法もありますが、まずそれらの虫を捕まえて観葉植物に住まわせる方が大変だと思うので、一応こういう方法もあるという参考程度にしておきますね。
薬剤を使わない駆除方法も紹介しましたが、もし、発見した時既に大量にコナジラミが発生している状況であった場合や、初めての害虫の発生であった場合は、薬剤を使ったほうが良いと思います。
というのも、コナジラミが発生した場合は、迅速な対処が観葉植物を守ることに繋がります。しかし、駆除に慣れていない時に、薬剤を使わずに完全変態をするコナジラミを完全に駆除するのは、なかなか大変な作業ですし、そうこうしているうちに、観葉植物が病気になってしまっては、苦労して駆除した意味がなくなってしまいます。
殺虫剤も、用法や用量を守って使用すれば、人への影響は殆どないと言われています。もし、大量発生してしまった場合や、初めて害虫が発生してしまった場合は、無理せず殺虫剤を使うことをお勧めします。
コナジラミが観葉植物につかないための予防方法は?
コナジラミを発生させないために、先ず大切なのが、観葉植物を購入する時に、確認が可能であれば、植物の先端の葉っぱの裏などを観察し、虫がついていないものを入手するということです。
また、窓を空けたり観葉植物を屋外で日光浴させたりした時は、室内に取り込む前に葉っぱの裏を観察して、コナジラミが付いていないか確認するようにしましょう。
他もに、コナジラミや他の害虫が太陽光を嫌うという性質を利用して、マルチシートやアルミ箔などを敷いたり、特にコナジラミが発生しやすい春から秋にかけて、乾燥した環境を作らないように、定期的に葉っぱの裏表に葉水をしたりすることが、コナジラミの発生予防に繋がります。
まとめ
いかがでしかた?認知度の低いコナジラミについて紹介しましたが、完全変態するために、一度の薬剤の散布では完全に駆除出来なかったり、繁殖力が強かったりと、厄介な害虫でした。
コナジラミは、早期に発見して、早期に駆除することが大切です。毎日植物を観察して、大量発生する前に駆除してくださいね。