育てている観葉植物に、水がにじんだような褐色の部分があったら、それは『灰色かび病』という病気かもしれません!!灰色かび病にかかると、治療ができません。かかると厄介な灰色カビ病について症状や対処方法などを紹介します。
観葉植物の灰色かび病について
出典:べとなぶり
灰色かび病は、「ボトリチス・シネレア」という糸状菌と呼ばれるカビが原因の伝染病で、原因菌の名前から「ボトリチス病」とも呼ばれています。野菜や草花、果樹などどんな植物でも掛かる可能性があり、空気感染するため、室内で育てている観葉植物でも感染する可能性があります。
灰色かび病は、植物の蕾や花、葉っぱや茎など、植物の地上に出ている大部分に発生します。病気にかかった植物の処理で出たゴミ(残渣[ざんさ])や、土の中に潜んでいた病原菌が、土の上に落ちた落ち葉や花によって増殖します。
増殖した灰色カビ病の糸状菌は、風によって飛ばされ別の場所に運ばれます。そこで他の植物に付着すると、その植物も感染して灰色カビ病を発病します。
症状と発生時期
灰色カビ病に感染すると、初期症状として菌が付着した箇所(葉っぱや花など)に布に水が染み込んだような、ジワーッとした淡い褐色の病斑が現れます。病気が進行するとともに、その病斑が大きくなって枯れ始め、腐敗した後、その場所は灰色や灰褐色のかびに覆われます。
灰色かび病が花弁で発生した場合は、白色や褐色などの小さな斑点が、たくさん現れ、病期の進行とともに、枯れて灰色のかびが覆い尽くします。
このように、発病した箇所は最終的に組織が枯れて腐ってしまうため、特に枝や茎に発生すると、それより上の部分全体が枯れてしまうので、植物の生長が阻害され、植物全体に大きな被害を与えてしまいます。
この病原菌は、かびなので多湿な環境で発生しやすいのですが、気温が多少涼しい環境を好むことから、春先から梅雨にかけての、多湿でそれほど暑くない時期や、秋から冬にかけての雨が多く降る時期に発生しやすいです。
また、株が弱っている植物や咲き終わってしぼんだ花や老化して枯れた葉っぱなどにも発生しやすいので、注意が必要です。
観葉植物が灰色かび病になった時の対処方法
残念なことに灰色かび病に一度感染してしまうと、病斑が出来た部分を治療によって回復させることは出来ません。ですから、病気を見つけたら、植物全体に蔓延してしまう前に、発病している葉っぱや茎、花などを切り取り、念のために枯れ葉下やに落ちている落ち葉も取り除きましょう。そうすることで、ある程度病気が蔓延することを防ぐことが出来ます。
また、病気にかかった部分を全部取り除いても、かびの胞子が鉢の土の上に残っている可能性があるので、できれば土は新しいものと取り替えたほうが良いでしょう。もし、それが難しいようであれば、薬剤を散布することもいいと思います。
薬剤を使うときは、灰色かび病の被害が広がっていない発病初期か、病気にかかった部分を取り除いた後に、観葉植物全体にむらなく散布して下さい。もし、病気に気づかずに植物全体に病気が蔓延してしまった場合は、その植物は、株ごと鉢から引き抜き、処分して下さい。
処分方法としては、病気になった葉っぱや枝を取り除いた後にもいえることですが、ビニール袋などに入れ、しっかりと縛った後自治体の方法に従ってゴミに出すか、可能なら地中深く穴を掘り埋めて下さい。
灰色かび病に有効な薬剤としては、「カリグリーン」や「ダコニール」、「トップジンMゾル」等があります。どの薬剤も、殺菌剤で病気の菌を駆除し予防することが出来ます。
但し、同じ薬剤ばかり使い続けると、体制を持つ菌が生まれてくる可能性があるので、幾つかの薬剤を交互に散布することをお勧めします。
観葉植物から灰色かび病にならないための予防方法
出典:べとなぶり
上でも書いた通り、灰色かび病の病原菌はカビであるために、多湿な環境を好み、枯れ葉や萎れた花に発生しやすいです。ということは、灰色カビ病を防ぐためには、そういった環境を極力作らないようにすることが大切になってきます。
風通しを良くする
植物は、生長するとともに枝が伸びたり葉っぱが生い茂ったりして、込み入ってしまい、植物自体の風通しが悪くなってしまいます。そういった箇所は、カビが好きな多湿な状態になり易くなってしまいます。
多湿な状態にしないためにも、枝や葉っぱが込み入っている場所を園芸用のハサミなどでカット(剪定)し、植物自体を風通しが良い状態にしましょう。また、観葉植物の置き場所にも気をつけましょう。
どんなに植物を剪定(せんてい)して、植物自体の風通しを良くしても、鉢をおいている場所が、多湿な場所であったり風通しが悪い場所であれば、やはり灰色かび病が発生しやすい状態になってしまいます。
ですから、観葉植物の鉢も日当たりと風通しが良い窓際などに置いて管理するようにして下さい。さらに、寄せ鉢で観葉植物を育てている場合は、植物同士の間隔を十分に開けて植えるようにして下さい。
水はけをよくする
多湿な状態を作らないためには、鉢植えの土の水はけを良くすることも大切になってきます。水はけが悪く、いつまでも土の中がジメジメしていたり、受け皿の水をそのままにしていては、やはり多湿な状態を作りますし、病気だけでなく根腐れの原因にもなってしまいます。
受け皿の水は、水やりの後しっかり捨てるようにし、もし土の水はけが悪いようなら、植え替えて水はけの良い土に変えるか、腐葉土やピートモスといった用土の割合を多くすると良いでしょう。
枯れた葉っぱや花をこまめに取り除く
灰色かび病のカビは、枯れた葉っぱや萎れた花に発生したり増殖したりするため、落葉していなくても、年老いて黄色くなった葉っぱや枯れた葉っぱ、咲き終えて萎れた花は、見つけ次第摘み取り、落ち葉は、こまめに取り除きビニール袋に入れて処分して下さい。
水やりの仕方
葉っぱや花が濡れていたり、水滴がついている状態が長く続くと、やはり多湿な状態になり、感染しやすくなってしまいます。ですから、観葉植物に水を与える場合は、植物の根元に直接水やりするようにして下さい。
また、この時、土はねが葉っぱや茎につかないように注意しましょう。土壌に潜んでいたカビが付着してしまう可能性があります。
もし、心配であれば、土の上をマルチングして土がはねて付着するのを防いだり、観賞に支障をきたさない程度に、下葉を摘み取って葉っぱを土から離すようにすることをお勧めします。
他にも、植物に害虫が付くことを防ぐために、葉水を与えることは大切ですが、葉水をした後、すいぶんをそのまま葉っぱに残しておくことも止めて下さい。葉水をした後は、しっかり水分を拭き取るようにしてくださいね。
肥料の与え方
鉢の中の土の中の窒素成分の割合が多いと、観葉植物はぐんぐんと生長して、葉っぱが茂りすぎたり枝が伸びすぎたりして、上でも述べた通り植物が込み入った状態になりやすくなり、結果病気にかかりやすくなります。
こまめに剪定できればいいですが、時期によっては剪定を控えたほうが良かったり、忙しくて剪定出来なかったりすることもあると思います。
そういった状態にならないためにも、窒素成分が多い肥料を、一度に与えすぎないように注意して下さい。肥料を与えるときは、窒素成分が少ない肥料を与え、肥料の過剰な追肥も避けるようにしましょう。
まとめ
厄介な観葉植物病気の1つである『灰色カビ病』について紹介しました。観葉植物の日当たりや風通しを良くし、多湿な状態を避けて健康に育てることで、ある程度病気の発生を防ぐことが出来ます。
また、病気を発症しても、初期の段階で対処することで、蔓延することを避けることも出来ます。早期に対処するためにも、定期的に観葉植物を観察してあげてくださいね。