道端に咲く雑草などにもよく寄生しているアブラムシ。ぎょっとするくらいたくさんついていますよね。アブラムシが寄生してしまうと、小さい上に一度に沢山の数が付くため、駆除するのに一苦労します。アブラムシの駆除方法や特徴などについて紹介します。
観葉植物の害虫「アブラムシ」の特徴
アブラムシは、観葉植物のみならず、草花や樹木、野菜などありとあらゆる植物に寄生し、葉っぱや新芽、蕾や花など、植物の中でも柔らかい部分に大量に群がります。
しかも、大量に寄生したアブラムシが、植物の栄養素を吸汁するため、その植物が弱るだけでなく、厄介なことに、その時に病気を媒介するため、多大なダメージを植物に与えてしまいます。
アブラムシは種類が多いため、種によって異なる生態があります。種類によっては、翅(はね)をもつ種類もいて、翅を持つ種類のアブラムシは、飛んで他の植物に移動して、そこで子孫を増やします。
翅がない種類は、春から秋にかけて繁殖します。春は、オスと交尾をすることなく、メス単体で繁殖します。さらに、秋の終わり頃には、繁殖した中からオスが発生します。メスは、そのオスと交尾することで、植物に卵を産み付けます。しかも、メスは毎日5匹ほどずつ幼虫を産みます。
産み付けられた卵は越冬し、春になると翅がないタイプのアブラムシが孵化し、10日前後で成虫となります。そして、それらのアブラムシが、同じようなサイクルで増殖していきます。ですから、繁殖力を考えると見つけ次第、速やかに駆除することをオススメします。
アブラムシによる被害
アブラムシによる被害には、直接的な被害と間接的な被害の2種類があります。直接的な被害としては、群生したアブラムシが針のような口を植物に挿して、一斉に栄養素を吸い取るため、どんどん植物の栄養分が奪われ、植物に栄養が行き渡らず、発育不良になったり、コブができたり、葉っぱが丸くなったりと奇形が症状として見られる時もあります。
間接的なものとして、様々な病気を誘発する被害があります。これは、アブラムシによる被害の中でも、かなり深刻で、アブラムシが排出する甘い糞尿にスス病の病原菌を引き寄せたり、アブラムシが媒介したウイルス病に感染した部分は、治ることがありません。
ウイルス病やすす病にかかった部分は放っておくと、植物全体に被害が拡大してしまうため、感染が分かり次第、すぐに取り除き、焼却処分をして下さい。
アブラムシが好きな環境(観葉植物のどこ)
アブラムシが好きな環境は以下のとおりです。
化学肥料を多用している
化学肥料の中には、窒素成分が多い肥料があります。そういった肥料を与えすぎると、土中の窒素分が増え、それを吸収した植物は、葉っぱで合成されるアミノ酸の量も多くなってしまいます。
アブラムシは、アミノ酸が大好物で、植物の中で多く作られすぎたアミノ酸を目当てにアブラムシが寄ってきてしまうのです。
枝や葉っぱが密集している
これは、アブラムシに限ったことではありませんが、枝や葉っぱが密集していると、どんなに風通しや日当たりの良い場所で管理しても、植物の内側への風通しが悪くなったり、日の光が十分届かなかったりします。
そうならないためにも、植物が生長して枝や葉っぱが込み入ってきたときには、剪定をして風通しを良くし、全体的にひがあたる様にしましょう。この他にも、植物自体が弱っていたり、アブラムシにとっての天敵が少なかったりする植物に好んで寄生します。
薬剤を使わないアブラムシの駆除方法
アブラムシは、半端ない繁殖力なので、見つけ次第すぐに駆除することが大切です。早期発見・早期駆除が、被害を小さく抑えるポイントです。
駆除の方法としては、アブラムシ用の殺虫剤を使用するのが、一番手っ取り早いと思うのですが、小さなお子さんがいる家庭だったり、果汁を育てている場合などは、薬剤を使うことに抵抗がありますよね。ここからは、薬剤を使わず駆除する方法をいくつか紹介します。
テープや使い古しの歯ブラシを使う
アブラムシの発生が初期段階で、まだ数が少ない時は、直接手で駆除するほうが確実で手っ取り早いです。とはいっても、一匹一匹手でつまみ取るのではなく、マスキングテープのような粘着力が弱めのテープなどを直接アブラムシに貼り、取り除きます。
ガムテープのような粘着力の強いテープ等は、枝や葉っぱなどに傷を付けて、かえって植物にダメージを与えることがあるので、できれば粘着力の弱いテープを使って下さい。
また、使い古した歯ブラシを使ってこすり落とすのもいいでしょう。歯ブラシでこすり落とす場合は、落ちたアブラムシが、別の場所に飛び散ってしまわないように、そのまま捨てられる容器やビニール袋を用意して、駆除する枝の下で受けるようにしましょう。
また、歯ブラシを使う場合も、テープ同様植物を傷つけてしまわないように、気をつけなければいけません。もし、寄生している部分が、柔らかい新芽だったり蕾だったりした場合は、これらの方法はおすすめできません。
植物に天敵を置く
アブラムシにとっての天敵は、てんとう虫です。てんとう虫にとって、アブラムシはごちそうで、1匹が1日で捕食する数がだいたい10匹ほどです。
アブラムシの、1日の繁殖数が5匹なので、もし、アブラムシの発生がそれほど多くなければ、てんとう虫の力を借りるのもいいと思います。ただ、てんとう虫を見つけて捕まえられればの話ですが^^;
アブラムシを窒息させる
言葉だけ見ると、ちょっと残酷な気がしますが、薬剤を使わずに害虫駆除するには、有効な手段の1つです。これに有効な方法が2通りあります。
1つは、「牛乳を吹きかける」です。牛乳をそのまま使用しても、水で薄めたものを使用しても構いません。それを霧吹きなどに入れ、アブラムシに向かって、直接吹きかけて下さい。
アブラムシが死滅した後は、牛乳をしっかりと洗い流して下さい。そうしておかないと、今度は牛乳が腐って臭くなったり、違う虫が寄ってきたりします。
また、この方法は、大量にアブラムシが発生してしまった後では、あまり有効ではないようなので、数が少ない初期の段階の時の対処方法として利用した方がいいでしょう。
もう一つの方法は、「石鹸水を吹きかける」という方法です。石鹸水の作り方として、水を入れた500mlのペットボトルに、食用油と台所洗剤を2~3滴入れ、霧吹きなどに移し入れてから、よく振って混ぜ合わせます。
その溶液をアブラムシに向かってスプレーします。この方法も、牛乳の方法同様、アブラムシを全滅させられるわけではありません。また、石鹸水を吹きかけた後は、しっかりと洗い流して下さい。
デンプン成分の駆除剤(粘着君)を使う
こちらは、殺虫剤ではあるのですが、主成分がデンプンで出来ていて、科学殺虫成分を含まないため、他の殺虫剤よりは安全性が高い液剤です。
ただ、こちらもデンプンによる粘着性で窒息させて駆除するため、アブラムシの卵まで駆除することは出来ませんが、安全性は高いので、繰り返し使うことが出来ます。上に挙げたような方法での駆除が面倒であったり、そんなに時間を掛けていられないという方は、こちらの駆除剤を使うのも一つの手だと思います。
アブラムシの予防(防除)方法
忌避剤(きひざい)を使う
忌避剤というのは、虫が嫌がる匂いなどで虫を引き寄せないようにするものです。余談ですが、蜂が巣を作る時も、蟻が寄ってこないために、天然の忌避剤を使っています。
甘い蜜がたっぷりある蜂の巣に、アリが群がっているところを見たことがないので、忌避剤を使った予防は、高いといえるかもしれませんね。
では、本題に入ります。アブラムシなどの害虫にとっての忌避剤は「木酢液・ニームオイル・薄めた米酢」3つあります。
木酢液を利用する
木酢液とは、炭を作る時に出る水蒸気を冷やして液体にしたもので、この木酢液は、害虫を忌避するほか、土の消毒をしたり植物の生長に有用な微生物を増やしたりしてくれます。さらに、植物の生長にも、効果があるという優れものです。
木酢液を希釈したものを、日頃の葉水として利用すると、予防効果にも植物の成長促進にも有益です。余った木酢液は、鉢の土にそのままかけて大丈夫です。ただ、液剤が濃すぎると、逆に害になってしまうので、用法通りの濃度で使用しましょう。
ニームオイルを利用する
ニームというのは、樹木でその種から抽出したオイルがニームオイルです。このオイルは、古くより虫よけとして利用させてきました。ニームオイルも、希釈した後植物に散布して使用します。日頃から定期的に散布することでアブラムシやその他の害虫、病原菌を忌避します。
ニームオイルも、散布することで植物に栄養を与えることができます。葉水の時、代わりに希釈したニームオイルを使用すると良いでしょう。余った場合は、そのまま土にかけることも出来ます。
薄めた米酢を利用する
木酢液やニームオイルを利用することをオススメしますが、どちらも身近なものではないため、簡単には、手に入るものではありません。そこで、どこでも簡単に手に入る米酢を利用した方法も紹介します。といっても、すぐ使用できるわけではありませんが^^;
薄めた米酢といっても、そのままの米酢を使用するわけではありません。米酢500mlに切られていない唐辛子5~10本とにんにく1片を入れ、1ヶ月から2ヶ月ほど漬け込みます。
漬け込んだ液は、使用時に300倍に水で薄め、霧吹きなどで吹きかけます。酢と唐辛子、にんにくの匂いによって、害虫を忌避出来ます。また、米酢は害虫を忌避するだけでなく、カビの繁殖を抑制する効果や葉っぱのツヤを出す効果も期待ができます。
光や反射を利用する
翅のある虫は、翅に当たる光の方向に向かって飛ぶと言われています。この習性を利用した予防方法です。アブラムシを全て駆除した後に、株元にアルミ箔など光が反射するものを敷きます。
そうすることで、上からはもちろんのこと下からも光が当たるため、アブラムシは上下感覚がわからなくなり、その場に留まれなくなります。
まとめ
いかがでしたか?繁殖力の強いアブラムシは、あっという間に大量に発生してしまうので、観葉植物をこまめに観察し、被害がひどくなる前に対処して、元気に育ててくださいね。