色鮮やかで可愛らしい花が魅力的なカランコエですが、その花を咲かせるまでには、ちょっとした工夫が必要となります。カランコエの育て方や花の咲かせ方を紹介します。
多肉植物カランコエの特徴
アフリカのマダガスカルが原産のカランコエは多肉植物の多年草で、乾燥に強い反面、寒さや湿度が高い環境に弱いという特徴があります。そのため、日本で育てる場合には管理がしやすいように鉢植えで育てるのが一般的になっています。
カランコエは、ベンケイソウ科のカランコエ属の総称で、原種は120種類ほどあります。さらに園芸品種も多く生まれているため、花の色や花の形が豊富で、様々なバリエーションがあります。
花の特徴としては、大きく3群に分けることが出来ます。「トウロウソウ」はガクが大きく、花が下を向いて咲きます。日本でも奄美大島や沖縄などの暖かい地域で自生しています。
「マダガスカルベンケイ」のガクは小さいですが、やはり花は下を向いて咲きます。」リュウキュウベンケイ」は、花の色が豊富です。園芸店などでよく見かける種類は、「リュウキュウベンケイ」ですが、通常カランコエは、ブロッスフェルディアナ(ベニベンケイ)を改良した種のことを指します。
「ブロッスフェルディアナ」は、茎の先端に小さな星型の花をたくさん咲かせます。また、花の色は豊富にあります。
観葉植物カランコエの育て方
置く場所・日光・温度
一年を通して、日当たりの良い窓際などに置いて管理して下さい。ただし、夏場のような強い直射日光に当たると、葉焼けといって、葉っぱが直射日光によって火傷したような状態になり、葉っぱの色が変色し元に戻ることはありません。
また、葉焼けしたことによって、株全体が弱って枯れてしまうこともあるので注意が必要です。そうならないためにも、夏場は直射日光が当たらない明るい日陰に置くか、レースのカーテンなどで日差しを和らげるようにして下さい。
さらに、梅雨のような高温多湿の時期は、株が蒸れてしまわないように風通しにも気をつけて下さいね。上でも書いたとおり、カランコエは非耐寒性の植物で、10℃以下になると花つきが悪くなり、5℃以下になると生長が止まり、長期間生長が止まると枯れてしまう恐れがあります。
気温が低くなると、室内であっても窓際は、冷気に触れてしまうので、寒くなってくる秋の後半には、窓から離し、部屋の内側へ少し移動させるといいでしょう。
夜に蛍光灯などの人工的な証明に当たり続けると、花が咲きにくくなるので、なるべくそれらの光が当たりにくい場所に置いて下さい。
水やり・肥料
多肉植物で、葉っぱにたっぷりと水を蓄えているので、乾燥には強い植物です。ですので、他の植物のように毎日水やりをしてしまうと、根っこが腐る根腐れを起こしてしまうので、水のやり過ぎには注意して下さい。
カランコエの生長期である5月~9月頃は、鉢の土の表面が乾いてから、鉢の底から水が染み出るくらいたっぷりと水を与えましょう。秋の中頃からは、生長も緩やかになるため、少しずつ水やりの間隔を空けるようにし、冬場は、土の表面が乾いた後、さらに2~3日経ってから水やりをします。
乾燥した環境を好み、湿っぽさを嫌うカランコエの水やりは、土の表面が白く乾いたのを確認してから水を与えることがポイントです。
ただし、どんな場合でも、水やりをする時は、鉢の底から水が染み出るくらいたっぷり与え、受け皿に溜まった水は必ず捨てて下さい。少量の水を頻繁に与えてしまうと、ずっと土が湿った状態になり、彼の原因になります。
肥料に関しては、新芽が付きだす5月頃から秋ごろまで、液体肥料を10日に1回のペースで与えましょう。ただし、夏の高温期に肥料を与えると、根腐れを起こす可能性があるので、夏場は肥料を与えません。また、花が咲き始めたら、原則として肥料は不要です。
植え替え
根っこが伸びると、鉢の中が根っこで一杯になってしまいます。そうなると、根っこが水を吸いにくくなり、生長も悪くなってしまうので、植替えの作業が必要になります。
頻度としては、1年から2年に1回位で、時期として適しているのは、生長し始める春か花が咲き終わった6月頃、気候が安定した秋が良いでしょう。中でも春は、秋まで生長期に入るため、多少根っこが傷ついても回復が早いため、一番適しているといえます。初めての植え替えは、この時期にすることをお勧めします。
さて、植替えの方法ですが、最初に、『一回り大きな鉢』の底の穴に鉢底ネットを置き、鉢底石を敷き詰めます。その後、新たに用意した『多肉植物用の培養土』を1/3ほど入れます。
次に、鉢からカランコエを引き抜いて、根についた土をほぐして1/3ほど落とします。この時、6月頃に植え替えをする場合は、根をあまり崩さないようにし、秋に植え替えをする場合は、根を傷つけると株が弱ってしまうので、根には触れないようにします。
黒くなって腐った根っこを園芸用のハサミやナイフで切り落とし、用意した鉢の真ん中に置き、用意した土の残りを入れましょう。この時、土は鉢のすれすれまで入れると、水を与えると流れてしまうので、縁から2~3cmほど空けて置きましょう。
土を入れた後は、割り箸などで土を突いて根っこと土をなじませて下さい。根っこと土が馴染むことで、土が下がることがあります。その時は、土を足して下さい。最後に鉢底から染み出るくらい水をたっぷり与えます。
植え替え直後に水をたっぷり与えた後は、水やりを控えめにします。また、置き場所は、元気に育っているようであれば、植替え前と同じ環境で育てて大丈夫ですが、しんなりしているようなら、明るい日陰で数週間から1ヶ月ほど管理して、元気になったら、徐々に日の光に慣らしていきましょう。
切り戻し
カランコエは、長期間栽培していると、茎が伸び葉っぱが茂ってきて、花の付き方が悪くなってしまいます。そのために、1年~2年に1度「切り戻し」という作業が必要になります。
切り戻しは、長く伸びた茎や葉っぱなどを短く切って、株全体を整える作業をいいます。この作業も植替えと同様に生長期直前の3~4月頃か、開花が終わった9月頃に、根本から10cmほどの長さを残して、園芸用のハサミやナイフで切ります。
植え替えの時に切り戻しも一緒にすると、手間が省けますよ。
花の咲かせ方
カランコエが花を咲かせる条件は、他の植物と違い、『光が当たる時間を短くする』ことが大切になってきます。カランコエは短日植物で、日に当たる時間が12時間以下になると花を咲かせます。そのため、日が短くなる秋以降に花を咲かせます。
ただし、室内に置いて育てる場合、どうしても室内の照明によって光にあたっている時間が長くなってしまいます。そのため短日処理といって、ダンボールなどをカランコエの鉢にすっぽりとかぶせて、意図的に光を遮断して短日の状態を作る作業が必要になります。
この作業は、ツボミが確認できるまでの間毎日繰り返し行います。ツボミができる目安としては、だいたい30~40日間ほどです。時間帯としては、夏の夕方5時頃から翌朝の7時頃まで、短日処理をするといいでしょう。
花が咲いてからは、どんどん新しい花が出てくるので、枯れた花と新たに咲いた花が入り交じる時期が出てきます。そのようになってきたら、花が3割ほど枯れた茎を生え際から切り落とし、落ちた花びらも取って捨てて下さい。
落ちた花びらをそのままにしておくと、土に日の光が当たらなくなって、土が乾かず根腐れの原因になってしまいます。
病気・害虫
カランコエは、灰色カビ病とアブラムシの発生に気をつけて下さい。灰色カビ病は、枯れた花や葉が生い茂って風通しが悪い場所は、灰色カビ病を誘発しやすくなります。そのため、花や枯れた葉っぱはこまめに摘み取り、株をきれいに風通しが良い状態に常にしておきましょう。
この病気にかかってしまったら、回復はせず、放っておくと株全体に広がってしまうため、すぐに病気にかかった部分を切り取って処分して下さい。また、土に灰色カビ病の菌が残っている可能性があるので、出来れば新しい土に植え替えるか、それが難しいときには、薬剤を散布して殺菌して下さい。
アブラムシは、春先に新芽やツボミに発生しやすいです。アブラムシの排泄物によって、すす病という病気の二次被害を発生させる可能性もあるので、見つけたら早めに専用の薬剤で駆除して下さい。
まとめ
寒さに弱かったり、花を咲かせるために短日処理が必要だったりと、少し世話には手間がかかりますが、短日処理を行うことで、長い間花を楽しむことが出来ます。花の色や種類が豊富で、秋や冬にも花を咲かせるカランコエで、お部屋に彩りを添えてみるのも良いかもしれませんよ。