樹上や岩の表面に根っこを張り育つ着生植物であるエスキナンサスについて紹介します。
観葉植物エスキナンサスの特徴
出典:遊恵盆栽
は東南アジアからニューギニアが原産地で、約100種類の品種が分布しています。エスキナンサスは、着生植物といって、土の中に根を張らず、樹の上や岩の表面に根を張り付けて生育する植物です。常緑樹で、多年草のものと低木のものがあります。
多年草の品種は、毎年花を咲かせるため、時期がくるとその花を楽しむことも出来ます。エスキナンサスの姿は品種によって様々で、半つる性で茎がだらりと垂れ下がるもの、茎が真っすぐ立っているものや斜めに生長するものなどがあります。
葉っぱは、どの品種も多肉質で、葉っぱに艶のある品種は、花が咲かない時期でも、観賞用として楽しめます。花は、主に春から秋にかけて長く楽しむことが出来ますが、一定の温度があれば、季節に関係なく年中開花する種類もあります。
花の咲き方は品種によって異なり、葉っぱの付け根に1輪ずつ付くものや茎の先端にいくつかの花がまとまって付いたりします。ただ、葉っぱの付け根に1輪ずつ花が咲く者のほうが珍しい様です。花の色は、赤やオレンジ、黄緑色と品種によって様々です。
エスキナンサスの代表の種類
ラディカンス
出典:お花や日々の出来事を
エスキナンサスの品種の中でも人気が高いのが「ラディカンス」という、楕円形の葉っぱが対生するタイプの品種です。葉っぱは多肉質で、色はほんのり赤みを帯びた緑色をしています。茎は硬くて細く垂れ下がっています。その先に赤紅色の花が多数咲きます。
スペキオスス
出典:ひろのうつ病日記
エスキナンサスの中でも、園芸用として一番普及している品種の1つです。葉っぱは厚く光沢があり、茎の先端に赤色とオレンジ色の大きな筒状の花を咲かせます。
トリコロル
長い枝を垂れ下げています。そこに、革のような質感の卵型の葉っぱが対生で生えています。年間を通して葉腋や小枝に、赤くて小さな唇のような形をした花を咲かせます。
オブコニクス
茎が半つる性なので、一般的にハンギングタイプで栽培されていることが多いです。葉っぱは、卵型か楕円形をしていて光沢があります。濃紅色をした花は、筒状の形をしていてます。
観葉植物エスキナンサスの育て方
置き場所・温度・日光
エスキナンサスは、室内のレースのカーテン越し程度の日の光でもよく育つほど耐陰性があるので、室内向きの植物です。
むしろ、強い日の光に当たると、葉焼けといって葉っぱが日焼けをした状態になるので、特に夏のような強すぎる日差しがある時は、エスキナンサスとっては強烈な日差しとなるため、窓際などに置いて育てている場合は、レースのカーテンで日差しを遮るか、半日陰の場所に移動させて下さい。
夏以外の季節には、日光に当てて育てると、元気に育ってくれるので、日差しが入る窓際などで育てると良いでしょう。エスキナンサスは、湿度と気温の高い環境が好きな上に、やや弱めの光でも耐えることが出来るので、バスルームの窓際などに吊り下げてもよく育ちます。
ただし、バスルームの場合、気温差が激しくなるので、その点については注意が必要になってきます。また、あまり耐寒性に強くなく気温が5℃を下回る場所にさらされると、葉っぱが全て落葉してしまいます。
10℃以上の気温がある場所で育てることが理想で、10℃を下回るような時期に入る頃には、窓際から少し離したり、気温が下がりすぎるような場所から移動して育てたほうが良いでしょう。
そうすれば、葉っぱがついた状態で越冬も出来ます。ちなみに、冬場も生長期同様な元気な株の状態にしておきたい時には、15℃以上の室温が必要です。
水やり
空気中に湿気が多いのは好きなエスキナンサスですが、土の中がジメジメと過湿な状態になることを嫌います。生長期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。休眠期に入る冬場は水やりの間隔を空け、乾燥気味にして下さい。
空気が乾燥すると、落葉や萎縮の原因になるので、特に乾燥する冬場は霧吹きなどで水を吹きかける葉水を毎日行いましょう。
ハンギングで育てている場合は、風通しが良い分乾燥もしやすいので、夏場の水やりには気をつけなければいけません。また、吊り下げていることで、暖房の風が当たりやすくなるので、そのような場所に吊り下げるのは避けて下さい。
植え替え
葉っぱが生長している時、鉢の中でも根っこがぐんぐんと生長し、時間が経つと鉢の中が根っこでいっぱいになります。そうなると、生長不良を起こしたり、根腐れを起こす原因となります。
そうならないためにも、「植替え」という作業が必要となってきます。植え替えの時期は、鉢の中が根っこで一杯になったときや下葉が落ちてしまったら行います。
また、目安としては2~3年に1度のペースで行って下さい。植え替えに最適な時期としては、5月中旬から8月頃です。
増やし方(挿し木)
エスキナンサスは、挿し木に寄って増やすことが出来ます。挿し木というのは、育てている植物の一部を入りとり、発根させて増やしていく方法です。エスキナンサスの場合、5月中旬から7月いっぱいくらいに行うと良いでしょう。
茎を先端から3節ほど(先端の葉っぱを含め3枚目の所)の長さで切り、用意した川砂に挿すか、若しくは湿らせた水苔を切り口に巻いて発根させます。
土に挿したり水苔で巻く前に、切った茎の一番下(先端側で無い方)の葉っぱを落としてから、土に挿すか水苔で包んで下さい。土に挿した方は、そのままでも良いのですが、水苔の場合、巻いた後は、植木鉢などに入れて上向きに固定して下さい。
その後、根が出てきたら、水苔も一緒に土に植えます。どちらの方法にしても、作業が終わった後は、挿し木したものを半日陰において、水を切らさないようにして管理します。うまくいくと、1ヶ月ほど経つと根っこが出てきます。根っこが出てきたものから、小さな鉢に植え替えて育てて下さい。
生長して茎が伸びてきたら、茎の先端の芽を摘み、わき芽が出やすいようにします。そうすることで、バランスの整った株の姿になります。挿し木にする茎についてですが、最適な時期が植え替えの時期と被るため、植え替えの時に不要になった茎があれば、それを挿し木として使うことが出来ます。
また、根詰まりを起こして落葉してしまったものがあった場合、それを株元近くまで園芸用のハサミなどで切り立て直しを行う(切り戻し作業といいます)のですが、その時に切った茎に、まだ葉っぱがついていて且つ元気そうであれば、その部分を挿し木として利用することも出来ます。
病気・害虫
エスキナンサスの場合、掛かりやすい病気として炭疽病、寄生しやすい害虫としてアブラムシが上げられます。炭疽病は、カビが原因で発生する病気で、発生すると灰白色や黒い円形の斑点が葉っぱの表面に現れます。
その後、その斑点が葉っぱ全体に広がり、病気が進行すると中心部が破れやすくなり、穴が空いて枯れてしまいます。気温と湿度が高いと発生しやすく、また、土の水はけが悪かったり、風通しが良くない場所や株自身の葉っぱが生い茂り風通しが悪くなっていると、発生しやすくなります。
気温と湿度が高いと発生しやすいことから、6~7月や9月~10月には注意が必要です。炭疽病は、風や水やりの時の土の跳ね返り等で他の部分や植物に感染するため、もし、炭疽病にかかっている部分を見つけた時は、速やかにその部分の茎や葉を摘み取って下さい。
また、切り取った部分が土に残ってしまうと、そこから新たに病気が発生するので、摘み取ったものは、袋に入れてゴミに出すか可能であれば焼却処分して下さい。発見した時、発生初期であれば、殺菌剤を散布することで病気の拡大を防ぐことも出来ます。
アブラムシは、集団で植物の栄養を吸い取るため、寄生されると株が弱ってしまいます。また、アブラムシが様々な病原体やウイルスを媒介するため、二次的に病気を誘発してしまう可能性もあります。アブラムシを見つけたら、専用の薬剤で駆除して下さい。
まとめ
今回は、エスキナンサスについて紹介しました。花の種類によって茎が垂れ下がるものや直立させるものがありますが、どれも観葉植物として人気があります。
また、バスルームなどに飾ることも出来る観葉植物でもあるので、ぜひバスルームに飾ってバスタイムを極上のリラックスタイムに演出してみたはいかがですか?