アジアンタムの枯れない元気な育て方、特徴、種類について紹介します。
観葉植物アジアンタムの特徴
ワラビ科(イノモトソウ科)アジアンタム属(ホウライシダ属)のアジアンタムは細い線状の茎に薄く紙のような小さな葉を無数に茂らせる常緑性のシダ植物です。アジアンタムとはギリシャ語で「濡れない」という意味があるadiantos(アディアントス)が語源になります。
その名のとおり薄い葉は水をはじき水滴になります。みずみずしく繊細で爽やかな葉姿から観葉植物として人気が高く、店頭でも手の届きやすい値段で売られているほどに流通量も多いです。
性質も繊細で水が切れるとすぐに葉がチリチリになってしまうのですが、変化がわかりやすく湿度さえ気をつけていれば耐陰性もあり育てやすい植物ともいえます。
そんなアジアンタム、大多数が南アメリカ原産でそれ以外にも世界の熱帯から温帯で約200種類あるといわれ、日本にもハコネシダなど約10種自生しています。自生しているものは山間の崖などに岩に張り付いたような格好で生え、夜露や霧などが発生しやすい環境でたくましく成長しています。
アジアンタムの種類
アジアンタム・ラディアヌム
原生地:ブラジル(アメリカ熱帯雨林気候区)
草丈30~80センチ程度になる代表的なアジアンタム。店頭に並ぶアジアンタムとして売られているものの多くはこのラディアヌムの園芸品種になります。
アジアンタム・ペルビアヌム
大きめのイチョウ型の葉を生やすアジアンタムです。あまり市場には出回っていない品種です。
観葉植物アジアンタムの育て方
日光・温度・置く場所
年間を通して明るい日陰に置きます。室内であれば明るいカーテン越しの光にあて直射日光を避けるようにします。窓のある浴室などであれば湿度が保たれてアジアンタムにとって理想的な環境になりますね。
冬にリビングなどに置く場合は加湿器などで湿度を上げるとよいでしょう。耐寒温度は5℃です。気温が10℃以上保てる場所が適しています。
水やり
アジアンタムは多湿を好み乾燥に弱いです。葉や茎に保水力があまりないため、土が完全に乾く前に水をやります。また空気中の湿度が高い環境が適していますので定期的に霧吹きなどで葉に水を吹きかけます(葉水)
真夏や風通しが悪い場所で常に土が湿った状態ですと根腐れを起こす場合があります。しかしアジアンタムが枯れる原因の大半は乾燥です。
土は湿っているのに葉がチリチリになったり枯れる場合は霧吹きで水分を補います。20℃以上になってくる5月~9月はほぼ毎日水をやります。真夏は蒸れに注意して水やりを加減します。
秋から土への水を控え、冬は基本的に葉水に切り替えます。土の表面が乾いたら晴れた日の午前中に水を与えます。そうすることによって寒さによる根へのダメージを軽減できます。暖房などで室内が乾燥している場合も葉水が有効です。
土
水はけと保水性のある土が適しています。市販の観葉植物用の土か配合する場合は赤玉土5・腐葉土3・川砂2程度配合します。腐葉土の代わりにピートモスを使用してもよいです。
土の表面に湿らせた水苔を敷くと乾燥を防ぎ水やりの目安にもなります。
肥料
肥料の与えすぎは根腐れの原因になりますので、与えるとしたら薄めた液肥を月に一回程度施します。
植え替え・植え付け
アジアンタムは環境があうとぐんぐん成長しボリュームが出ます。その分、根も成長し水はけが悪くなり土中に酸素が行き渡らなくなる原因になりますので植え替えをします。敵期は5~6月、9月です。
根を1/3程度古い土とともに落とし、新しい用土で一回り大きな鉢に植え付け水を与えます。植え替えは植物にとってダメージがかかる作業ですので、植え替え後は根が定着するまで半日陰の風通しの良い場所で水切れに注意しながら管理します。
増やし方
胞子か株分けでふやすことができます。しかし胞子から育てることは温度湿度など、発芽に適した環境を作ることが難しく、株分けで増やすことが一般的です。ボリュームのあるアジアンタムを植え替え時に根を手でほぐし分けて複数の鉢に植え付けます。
害虫
アジアンタムにつきやすい害虫としてはアブラムシ、ナメクジです。アブラムシは春から秋にかけて葉の裏などにつき_汁液を吸いますので見つけたら水で洗い流します。
また、アジアンタムは多湿を好みますので屋外で管理しているとナメクジが発生することがあります。ナメクジは夜間活動して昼間は鉢底などに潜んでいます。ナメクジも新芽を食害しますので見つけ次第捕獲します。
株の仕立て直し
アジアンタムが乾燥や寒さで葉が落ちてしまったときでも根が生きている場合には再生する可能性があります。また、バランスが悪くなってしまった株やボリュームが出すぎたものを春先に茎をばっさりと根元から切りつめ、新しい株を育てることを仕立て直しといいます。
早く効率的に芽吹かせる方法としてビニール袋で発芽に適した環境をつくってあげる方法もあります。
- 茎を切りつめた後、薄めた液肥を少量与えます。
- 株全体を鉢ごとビニール袋で覆います。
- 口をゆるく止めて空気孔をあけます。
20℃以上の温度があり適度な明るさと水分があれば発芽の成功率が高くなります。
そうして温度と湿度のバランスが整うと新芽が再生します。しかしビニール袋をはずしたあと極端に環境がかわると新芽が順応できなくなりますので、春暖かくなってくる頃に試してみる価値があります。
アジアンタムの寄せ植え
アジアンタムを寄せ植えにする時は、同じ水分の吸収スピードの植物と一緒に植え付けます。同じシダ植物の仲間でネフロレピスなどは多湿を好むためアジアンアムとの寄せ植えに適しています。
まとめ
みずみずしく清潔感のある印象のアジアンタムはCM撮影の小道具として使われることも多く、どんなシチュエーションにもよく合います。ある程度の耐陰性があり、大きさも小型サイズですので窓のある浴室、キッチン、トイレなどにさりげなく置けて空間を爽やかに演出してくれます。
繊細な雰囲気を持ちますが、環境が合えば次から次へとゼンマイのような先がクルっとまるまった新芽を出し、丈夫に成長します。その健康に育つ環境作りのポイントはなんといっても空気中の湿度を保つことです。乾燥を嫌うアジアンタムは人のくらしにも適度な潤いをもたらせてくれます。