タコノキという植物を知っていますか?ひょうきんな名前ですが、木の根元から何本も太い棒のようなものが生えています。変わった樹形をしたタコノキの育て方や特徴について紹介します。
観葉植物タコノキの特徴
タコノキは別名パンダヌスといい、アジアやアフリカなど世界の熱帯地域で分布し、約140種類もある樹木です。種類によって大きさが異なり、樹高が3~5mほどの低木種や最大20mにまで達する高木種まで様々です。
そのほとんどの種類の幹の下の方には、気根と呼ばれる根っこがタコ足のように伸びていて、この形が「タコノキ」の名前の由来となっています。
葉っぱは、細長く先が尖った形をしており、80cm~1.5mほどの長さになります。その葉っぱが螺旋状にたくさん付き、その付き方から『スクリューパイン』とも呼ばれています。種類によっては、葉っぱの側面や裏側にトゲがついているものもあるので、葉っぱに触れる時は注意が必要です。
タコノキの種類
ここで、たくさんある種類の中からいくつか紹介します。
アダン
出典:宮古島のゆったり生活
日本の南西諸島からオーストラリアにかけて分布している品種で、アダンの葉っぱは、ござやカゴ、茅葺屋根の材料として使われています。
葉っぱの形は細長く、1~1.5mほどあり、縁には鋭いトゲがある品種や模様が入っている品種などがあります。
トゲナシタコノキ
出典:m-plant(エムプラント)
葉っぱの縁や裏にトゲを持つタコノキが多い中、このタコノキは、名前の通りトゲがありません。そのためタコノキの中でも、観葉植物として重宝されていますが、特徴である気根は、少なめです。
美容(ビヨウ)タコノキ
マダガスカル原産のタコノキです。枝分かれをあまりせず、青緑色の葉っぱは直立していて、タコノキの中で一番葉姿が美しいことから、この和名が付いています。が、葉っぱの縁には赤色のトゲがあるので、注意が必要です。
シマタコノキ
このタコノキは、葉っぱに白い縁取りが入るため、観賞価値が高いタコノキです。しかも、樹高があまり大きくならず低木性なので、鉢植えで観葉植物としても育てやすいです。葉っぱに白い縁取りがあることから、斑入り(フイリ)タコノキとも呼ばれています。
観葉植物タコノキの育て方
置く場所・日光・温度
タコノキを上手に育てるためには、置く場所による日当たりが、重要なポイントとなります。タコノキは、高温でカラッとした環境が好きなため、日当たりの良い場所か明るい日陰に置いて管理すると、元気にすくすくと育ちます。
但し、真夏などの強すぎる直射日光の元に置くと、葉焼けといって葉っぱが日光によって日焼けをして、株が弱ってしまうことがあるので、真夏には、半日陰で育てると良いです。
また、斑入りのタコノキの場合、長い時間日の光に当たっていると、せっかくの斑が薄くなってしまうので、年間を通して半日陰で育てたほうが良いでしょう。
高温で且つカラッとした乾燥気味の環境を好むタコノキを管理する中で、一番注意が必要な時期が、梅雨や長雨が続くような時期と冬場です。梅雨や長雨が続く時期は、高温であっても多湿であるため、鉢の中もジメジメして生長が衰えてしまったり、湿気によって株が腐ったり病気にかかりやすくなったりします。
この時期には、湿気が少なく風通しが良い場所において管理して下さい。タコノキは耐寒性に弱く、最低でも10℃以上の気温が必要となります。そのため、屋外で育てている場合、気温が10℃以下を下回る前には、室内に取り込み日当たりの良い場所に置いて管理する必要があります。
耐陰性はあるので、年間を通して室内で育てることが可能です。その場合は、日当たりと風通しの良い窓際において管理し、直射日光の強い時期にはレースのカーテンなどで日差しを和らげて下さい。冬場は窓から離し室内寄りに置いて、タコノキが10℃以下の冷たい空気に触れないように気をつけましょう。
水やり
過湿を嫌うタコノキは、乾燥には強いため、生長期である春から秋にかけても、土の表面が乾いてから、鉢底から水が垂れるまでたっぷり水をあげます。但し、受け皿に溜まった水はその都度捨てるようにしましょう。
休眠期である冬場は、生長がほとんどストップするため、水はあまり必要ではありません。この時期には、土の表面が乾いた後、数日経ってから水やりをして下さい。この際も、水は鉢底から垂れるまで与え、受け皿に溜まった水は捨ててくださいね。
植え替え
植物を同じ鉢でそだて続けると、鉢の中が生長した根っこで一杯になり、生長不良や枯れの原因になることがあります。気根があるタコノキも例外ではなく、1~2年に1回の割合で、植替えをして下さい。
植え替えの時は、現在使っている鉢より一回りだけ大きい鉢を使用します。大きすぎる鉢に植え替えてしまうと、水やりをした時、鉢の中に水がたまりすぎて根腐れを起こす原因になってしまいます。
一回り大きい鉢・新しい培養土(市販の観葉植物用の培養土で大丈夫です)・鉢底ネットや鉢底あみなどを用意します。古い鉢から引き抜いた株の根っこを軽くほぐし、黒くなったり枯れたりしている根っこや伸びすぎている根っこをカットした後、用意した鉢に株を植え替えます。
葉っぱにトゲがある品種の場合は、園芸用の手袋などをして、怪我をしないよう十分気をつけて下さい。植え替えに適している時期は、タコノキの生長期である5月~7月いっぱいくらいまでです。ただし、梅雨時期に植え替えをすると、湿気によって株が弱ってしまう可能性があるので、その時期に植え替えをすることは避けたほうが良いでしょう。
増やし方(挿し木・株分け)
タコノキを増やす場合は、『挿し木』と『株分け』で増やすことが出来ます。挿し木は、切り戻し作業によって切り落とした木を使います。切り戻しというのは、生長して伸びた枝や茎を園芸用のハサミなどで切って、株全体を短くしたり樹形を整えたりする作業のことを言います。
タコノキを、木の先端から好みの高さまで切り戻した後、切り落とした木の下の方の葉っぱをカットして土に挿し、動かないように固定します。その状態で、湿度を保っておくと、1~2ヶ月後に土に挿した木の部分から、根っこが出てきます。
根っこが十分に育ったら、新しい鉢に株を植え替えます。次は、株分けによる方法です。タコノキは、生長してくると、株の根元から子株が出てきます。それを親株から切り離し、新たに用意した鉢に植え付けます。
但し、子株が小さく未熟なうちに切り離すと、その後生長不良で枯れてしまうことがあり、子株が大きくなりすぎると、株分けをする際、扱いにくくなってしまいます。
子株は、葉っぱの数が5~7枚、葉っぱの長さが20cmほどまで育ったものを目安に株分けをしましょう。切り離した株は、観葉植物用の腐葉土を入れて新たに用意した鉢に、根本までしっかりと挿し、根っこが出るまでは、水切れしないようにそだて、根っこが出てきたら、親株同様、土の表面が乾いてから水やりをするようにして下さい。
2通りの方法を紹介しましたが、挿し木よりも株分けによる方法のほうが、安全で簡単に増やすことが出来ます。また、株を増やす作業をするのに適した時期は、やはり5月~7月いっぱいくらいが良いでしょう。
気をつけたい病気と害虫
気温の高い時に乾燥していると、葉っぱの裏にハダニが寄生することがあります。ハダニは、1mmにも満たない小さな体なため、肉眼では見つけにくいため、気づかないうちに大量に発生しているということが多いです。
ただ、小さすぎる体であるため、水によって簡単に流されてしまいます。ハダニの発生を予防するためにも、葉っぱの両面に霧吹きで葉水をするようにしましょう。また、ハダニの他にも気をつけなければいけないのが、カイガラムシです。
カイガラムシは、葉っぱの裏や幹に寄生します。名前の通り体が貝殻のようなもので覆われているため、薬剤が効きにくいため、見つけた時は歯ブラシなどで直接こすり取って駆除しなければいけません。
カイガラムシの排泄物から様々病気が二次被害として発生することもあるため、見つけ次第すぐに駆除するようにしましょう。
まとめ
タコノキについて紹介しましたがいかがでしたか?高温でカラッとした環境が好きなので、越冬させる場合は、暖かい場所での管理が必要となりますが、耐陰性があるため日の当たる場所であれば室内でも育てることが可能です。
株が小さいうちは、気根がなくスタイリッシュな樹形のタコノキ。一風変わった観葉植物としてお部屋のインテリアに加えてみると面白いかもしれませんね。