『旅人の木』という名前の観葉植物があることを知っていますか?その植物の種は、『種子の宝石』と呼ばれるほど美しく、旅人の木自体、入手困難で希少な観葉植物です。ストレリチアオーガスタに似ている旅人の木の育て方について紹介します。
観葉植物「旅人の木」とは?
旅人の木はマダガスカル原産の植物で、旅人ヤシとも呼ばれていますが、バショウ科のタビビトノキ属に属する植物です。
この植物の名前の由来は、葉柄に雨水などを溜めるため、乾燥地帯を旅した旅人達が、葉柄を切りそこに溜まった樹液を飲んで水分補給したことからこの名前になったという説や旅人の木の葉っぱが、東西方向に広がるため、旅人がコンパスの代わりにしていたという説があります。
舟の櫂のような形をした葉っぱは、長い茎の先に付き、それが左右対称に並ぶので、扇を広げたような見た目になります。葉先は、緑色をしていますが、葉っぱや茎の付け根は、黄色をしています。時期がくると白色の花をつけますが、小さいためあまり目立ちません。
生長するにともなって葉っぱや茎が落ち、植物が小さいうちには見られなかった、茶色で丈夫な樹幹が姿を表します。熱帯地方や亜熱帯地方では、街路樹として多く栽培されており、樹高が20mになり、葉っぱも葉茎を合わせると、5~6mの巨大な葉っぱに成ることもあります。
観葉植物「旅人の木」の育て方
出典:MAKIMO PLANT
置く場所・温度・日光
耐寒性はそれほど良くないため、最低気温が10℃を下回らない場所での管理が必要となります。特に秋の終わりから冬にかけては、室内の日当たりが良い場所に置いて管理して下さい。
風通しと日当たりが良い暖かい場所を好みますが、耐陰性があるので、例えば、午前中しか日が当たらないようなリビングや窓辺での管理も可能です。それでもやはり、日当たりの良い場所の方が、元気に育ってくれます。
旅人の木は、葉っぱを左右に広げて生長していくため、結構スペースを取ります。そのため、いくら日当たりが良くても、狭いスペースでの管理は、難しいです。
また、冷暖房器具の風が、植物に直接当たると、植物がその風によって弱ってしまうので、なるべく日の当たる広スペースで、冷暖房の風が当たらない場所に設置して下さい。
季節ごとの管理方法
冬から春
上記にもある通り、耐寒性はそれほどありません。冬になると、日照時間が少なくなるため、旅人の木が日の光に当たれる時間も短くなり、光量不足になりやすいです。そのため、冬から春にかけては、出来るだけ日当たりの良い場所で管理して下さい。
また、乾燥を防ぐために、霧吹きなどで葉っぱに水を吹きかける葉水をしたり、葉っぱの表面についたホコリを濡れたタオル等で拭き取るなどして、乾燥防止して下さい。
春から秋
旅人の木は、気温が20℃以上になると生長し始めます。冬から春にかけて、室内で管理することで、光量不足などによって植物は弱ってしまう事が多いので、春から秋にかけて可能であれば屋外で管理すると、元気を取り戻しやすいです。
ただ、数ヶ月間室内で育った植物を、急に直射日光に当ててしまうと、葉焼けといって、葉っぱが日焼けをして落葉の原因になったりするので、この時期に屋外で管理する場合は、最初の数日間は、明るい日陰に置きましょう。
その後旅人の木に、新芽が出てきた頃に半日陰へと移動させて下さい。春から秋にかけても(年間を通して)室内で管理する場合は、生長期である春から秋には、なるべく自然環境に近いところで管理して下さい。
日の光が不足すると、徒長という葉茎が間延びした状態になったり、新芽が出るのが遅くなったりするので、風通しの良い、日の良く当たる窓際などに置くのが良いでしょう。
ただし、葉焼けを防止するためにも、真夏など、強い直射日光が当たる場合は、レースのカーテンなどで日差しを和らげて下さい。
水やり・肥料
生長期(5月~10月)は、水分を多く必要とするため、土の表面が乾いたら、鉢の底から水が染み出るまでたっぷりと水を与えて下さい。但し、根腐れを起こさないために、受け皿に溜まった水は、必ず捨てるようにしましょう。
生長が緩やかになり止まる晩秋から春の初め頃(11月~4月)は、乾燥気味に育てます。土の表面が乾いてもすぐに水を与えず、2~3日経ってから水を与えるようにして下さい。
ただし、冬の時期でも気温が高い室内で育てる場合は、植物の状態に合わせて、水やりの間隔を調節して下さい。葉水は、年間通してやるようにして下さい。葉水をする事で、乾燥を防げる他、害虫の被害から防ぐことも出来ます。
肥料に関しては、春から秋の生長期に与えます。置き肥といって、緩効性の化成肥料を月に1回程度与えるか、液体肥料を薄めたものを、水やりの時水の代わりに3日に1回の割合で与えると良いでしょう。
植え替え
出典:ファンタジア
旅人の木が大きく生長するということは、見えていませんが、鉢の中の根っこも成長しているということです。根っこが生長すると、鉢の中は根っこでいっぱいになり、根詰まりという状態を起こします。
根詰まりを起こすと、生長しにくくなったり枯れの原因になったりするので、1~2年に1度程度、植替えか、若しくは株分けという作業が必要になってきます。
植え替えや株分けのタイミングは、1~2年毎か、若しくは、鉢と株のバランスを見た時、鉢が小さく感じたり、鉢底を見た時、根っこが鉢の穴から出ていたら、植え替え時期です。
植え替えには、適した時期があり、旅人の木の生長期である5月~9月頃に行うと、植物にとって負担は少ないです。また、株分けの時期も植え替えと同じ時期が適しています。
準備する物
- 一回り大きな鉢
- 新しい土(ホームセンターや園芸店で販売されている観葉植物用の用土を使用するか赤玉土6:腐葉土2:川砂2の割合で混ぜたもの)
- 鉢底石、鉢底ネット
- ハサミ、スコップ、ジョウロ
手順
- 鉢から旅人の木を引き抜き、根っこをほぐす。この時、黒くなったり枯れたりしている根っこをハサミで切り、付いている土は、あらかた落とします。
- 用意した鉢に鉢底ネット、鉢底石の順番で置く。その後、用意した土を3cm程敷き、その中央に①の旅人の木を入れる。
- 旅人の木がまっすぐになっていることを確認しながら、残りの土を入れる。この時土は、鉢の縁より3cmほど下で止めておく。
- 水やりをする。この時、鉢を揺すったり幹を軽く揺らすと、水が鉢全体に行き渡り、土も根っこの隙間まで入っていきます。もし、この時鉢の中の土が沈んだ場合は、土を同じ高さまで足して下さい。
※植替えの鉢を大きくしたくない場合は、鉢から引き抜いた後、根っこの先から1/3くらいのところを全体的に切り、その後②~④の手順に従って植え替えすると、鉢の大きさを変えずに、植え替えすることが出来ます。またこうすることで多少植物が大きくなることを和らげることが出来ます。
株分け
準備する物
- 株分けする数分の新しい鉢又はポット(大きさに関しては、使用している鉢と同じくらいで大丈夫です)
- 新しい土(ホームセンターや園芸店で販売されている観葉植物用の用土を使用するか赤玉土6:腐葉土2:川砂2の割合で混ぜたもの)
- 鉢底石、鉢底ネット
- ハサミ、スコップ、ジョウロ
手順
- 株を鉢から引き抜きます。その後、根っこに付いた土を落とします。この時、株が自然と別れている場合は、手で分けましょう。株が自然に別れていない時は、根っこをハサミなどで切り分けますが、少し根っこをほぐしてみて、簡単に分けられるものにしましょう。無理やり分けると、枯れの原因になってしまいます。どちらの場合も、株に幾つかの芽が出ている茎が残るようにして下さい。
- ②伸びすぎている根っこや傷んでいる根っこは切り落とし、それぞれ根を広げるようにしながら、用意したポットや鉢に植え付けます。(植え付けの手順は、植替えの②~④とほぼ同じです。)
植え替えや株分けの直後は、植物が弱っているので、2~3日は日陰に置き、根っこが安定してきたら徐々に日当たりのいい場所に移しましょう。
病気・害虫
特に気をつけなければいけない病害虫はありませんが、置き場所によって風通しが悪かったり、あまり日が当たらないような場所で管理すると、ハダニやカイガラムシが寄生する場合があります。
もし、それらの害虫が寄生した場合は、ハダニであれば、薬剤で駆除したりカイガラムシの場合は、歯ブラシなどで直接こすり落として駆除して下さい。風通しを良くし、毎日の葉水によって、これらの害虫の発生は予防することが出来ます。
まとめ
旅人の木は、あまり市場に出回っていない希少な観葉植物です。そのため、なかなか値段も高くなってしまいますが、育ててみたいという方は、ネットなどの通販で購入すると良いと思いますよ。